酔古堂剣掃 / 集醒・惟だ靜臥是れ小自在
日月如驚丸,可謂浮生矣,惟靜臥是小延年;人事如飛塵,可謂勞生矣,惟靜臥是小自在。
新字:日月如驚丸,可謂浮生矣,惟静臥是小延年;人事如飛塵,可謂労生矣,惟静臥是小自在。
書き下し
日月は驚丸の如し、浮生と謂ふべし、惟だ靜臥是れ小延年なり。 人事は飛塵の如し、勞生と謂ふべし、惟だ靜臥是れ小自在なり。
現代語訳
月日は弾き飛ばされた弾丸のように過ぎ去り、まことにはかない人生と言えます。ただ静かに横になることだけが、ささやかな延命です。人の世の事は舞い上がる塵のように慌ただしく、まことに苦労の多い人生と言えます。ただ静かに横になることだけが、ささやかな自在です。
解説
時の速さと世事の煩わしさに対して、静かに横になることを勧めた対句です。驚丸は弾き出された弾丸で、あっという間に過ぎる月日のたとえです。浮生は浮き草のようにはかない人生、労生は苦労ばかりの人生を言います。前半では静臥を小さな延命、後半では小さな自由と呼び、同じ答えを二度繰り返しています。大げさな修行ではなく、ただ静かに体を休めることに、命を延ばし心を解き放つ効き目を見ているのです。予定を詰め込みがちな今日、何もしないで横になる時間を意識して持つことも、立派な養生だと気づかせてくれます。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
養生閑適静浮生休息
関連する章句
-
『慎思録』巻之一水静かなれば則ち清明にして鬚眉を燭らす。其の平らかなること准に中る。大匠法を取る。人心静かにして而る後に能く慮る。慮りて而る後に能く得。蓋し能く慮るとは、明の生ずる所なり。能く得るとは、即ち知り得るなり。故に静かなるに非ざれば則ち明を生ずること能はず。
-
『呻吟語』内篇・談道・靜中に天地萬物を看れば都て些子無し靜中に天地萬物を看れば都て些子無し。
-
『呻吟語』内篇・應務・停蓄の水は一決して禦ぐ可からず簡靜沉默の人の發用し出で來たるは當たる可からず。故に停蓄の水は一たび決すれば禦ぐ可からざるなり。蟄處の物は其の毒當たる可からざるなり。潛伏の獸は一たび猛なれば禁ず可からざるなり。輕泄驟舉は、暴雨疾風のみ。智者は懼れず。
-
『呻吟語』内篇・存心・靜者は生門、躁者は死戶靜者は生門、躁者は死戶なり。
-
『呻吟語』内篇・談道・三氏傳心の要法は靜の一字三氏傳心の要法は、之を總ぶるに「靜」の一字を離れず。下手の處は皆な是れ欲を制し、歸宿の處は都て是れ無欲なり。是れ則ち同じ。
-
『呻吟語』内篇・問學・萬病は只だ個の靜の字學者の萬病は、只だ個の靜の字のみ治し得る。