呻吟語 / 内篇・存心・靜は萬理の橐籥、萬化の樞紐なり
天地萬物之理,出於靜,入於靜;人心之理,發於靜,歸於靜。靜者,萬理之橐籥,萬化之樞紐也。動中發出來,與天則便不相似。故雖暴肆之人,平旦皆有良心,發於靜也;過後皆有悔心,歸於靜也。
新字:天地万物之理,出於静,入於静;人心之理,発於静,帰於静。静者,万理之橐籥,万化之枢紐也。動中発出来,与天則便不相似。故雖暴肆之人,平旦皆有良心,発於静也;過後皆有悔心,帰於静也。
書き下し
天地萬物の理は、靜より出でて、靜に入る。人心の理は、靜より發して、靜に歸す。靜は、萬理の橐籥、萬化の樞紐なり。動中に發し出で來たるは、天則と便ち相似ず。故に暴肆の人と雖も、平旦皆良心有るは、靜に發すればなり。過ぎて後皆悔心有るは、靜に歸すればなり。
現代語訳
天地万物の理は、静から出て静に入ります。人の心の理は、静から起こって静に帰ります。静とは、あらゆる理を吹き出すふいごであり、あらゆる変化の要です。動いている最中に出てくるものは、天の法に似ていません。ですから乱暴でほしいままな人でも、明け方には良心があるのは、静から起こるからです。過ぎた後に悔いる心があるのは、静に帰るからです。
解説
静が始点であり終点であるという構造が示されます。そして証拠が二つ、誰もが心当たりのある形で挙げられます。どんな乱暴者でも明け方には良心が働くこと、そして事が過ぎた後には悔いが来ること。どちらも心が静かな時間です。動いている最中に出てくるものは天の法に似ていない、という一句が、その場の判断を疑うべき理由になっています。
この章句が説くこと
静起点帰着良心悔い
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