酔古堂剣掃 / 集醒・才鬼獨り頑仙に勝る
風流得意,則才鬼獨勝頑仙;孽債為煩,則芳魂毒于虐祟。
新字:風流得意,則才鬼独勝頑仙;孽債為煩,則芳魂毒于虐祟。
書き下し
風流意を得れば、則ち才鬼獨り頑仙に勝る。孽債煩ひを為せば、則ち芳魂は虐祟よりも毒なり。
現代語訳
風流が思いどおりに楽しめるなら、才気ある幽霊のほうが頑固な仙人よりもずっとまさっています。前世からの因縁の借りが煩いとなるなら、美しい人の魂のほうが残酷な祟りよりも害が大きいのです。
解説
風流と情愛の、光と影を描いた奇抜な対句です。才鬼は才気ある幽霊、つまり死んでもなお風雅を解する者で、頑仙は長生きしても風情を解さない頑なな仙人です。風流を楽しめるなら、長く生きる仙人より、才気ある幽霊のほうがよいという、文人らしい価値観が表れています。一方、孽債は前世からの因縁による負債、とくに男女の縁の借りのことです。それが煩いとなると、芳魂、つまり美しい人の魂のほうが、残酷な祟りより恐ろしいと言います。情愛は人生を豊かにしますが、こじれれば何よりも深く人を苦しめます。風流や情愛を楽しむときも、それが身を縛るものになりうることを知っておきたいものです。
この章句が説くこと
風流情愛因縁執着風雅
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