酔古堂剣掃 / 集醒・佳思忽ち來れば書も酒を下す
佳思忽來,書能下酒;俠情一往,云可贈人。
新字:佳思忽来,書能下酒;侠情一往,云可贈人。
書き下し
佳思忽ち來れば、書も能く酒を下す。俠情一たび往けば、云も人に贈るべし。
現代語訳
すばらしい思いがふと湧いてくれば、書物さえ酒の肴になります。俠気の情がひとたび高まれば、雲さえ人に贈ることができます。
解説
興が乗ったときの心の広がりを、二つの故事を思わせる言葉で描いた対句です。書も能く酒を下すは、宋の蘇舜欽が『漢書』を読みながら、痛快な場面に来るたびに大杯で酒を飲んだという、漢書を肴にした話を思わせます。云は雲のことで、梁の陶弘景が、山中には白雲が多いが、ただ自ら楽しむだけで君に贈ることはできないと詠んだ詩を踏まえ、それをひっくり返しています。俠気が高まれば、贈れないはずの雲さえ人に贈れるというのです。心が満ちているときには、ありふれたものが特別なものに変わり、不可能に思えることさえできそうに感じられます。そうした心の昂りを大切にし、良い思いが湧いたときは、それを人と分かち合いたいものです。
この章句が説くこと
風雅読書任侠飲酒興趣
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