酔古堂剣掃 / 集醒・全利有りて小害無きは惟だ書
天下之事,利害常相半;有全利,而無小害者,惟書。
書き下し
天下の事、利害常に相半ばす。全利有りて小害無き者は、惟だ書のみ。
現代語訳
天下の事柄は、利益と害がいつも半分ずつあります。完全に利益ばかりで少しの害もないものは、ただ書物だけです。
解説
読書の値打ちを、利害の面から簡潔に言い切った一則です。世の中のことには、たいてい良い面と悪い面の両方があります。富は安楽をもたらしますが、争いや執着のもとにもなります。地位は力をもたらしますが、責任や妬みのもとにもなります。ところが書物だけは、利益ばかりで害がないというのです。本を読めば、見識が広がり、心が養われ、孤独も慰められます。もちろん、読み方を誤れば害もあるでしょうが、この句は読書を愛する者の実感を、あえて誇張して述べたものです。前の句と続けて読むと、編者が読書をいかに重んじていたかがわかります。お金や時間の使い道に迷ったら、まず本に投じてみるのも悪くない選択でしょう。
この章句が説くこと
読書学問利害修身見識
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