酔古堂剣掃 / 集醒・嗜欲の場中には肝腸冷ややかに
苦惱世上,意氣須溫;嗜欲場中,肝腸欲冷。
新字:苦悩世上,意気須温;嗜欲場中,肝腸欲冷。
書き下し
苦惱の世上には、意氣須らく溫かなるべし。嗜欲の場中には、肝腸冷ややかならんことを欲す。
現代語訳
苦しみや悩みの多い世の中では、心意気は温かくなければなりません。欲望の渦巻く場では、はらわたは冷ややかであってほしいものです。
解説
場面によって、心を温めるべきときと冷やすべきときがあると説く対句です。苦悩の多い世の中では、人々は傷つき疲れているので、こちらの意気、つまり心の持ち方は温かく、人をいたわるものでなければなりません。一方、欲望が渦巻く場、つまり名利や快楽を競う場では、肝腸、つまり腹の底は冷静でなければ、たちまち欲に巻き込まれてしまいます。人に対しては温かく、欲に対しては冷ややかにという使い分けです。菜根譚にも、熱い心と冷たい目を使い分ける句が多く見えます。困っている人には温かく寄り添い、儲け話や誘惑には冷静に距離をとる、そんな温度の使い分けを心がけたいものです。
この章句が説くこと
仁愛節制処世欲望冷静
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