酔古堂剣掃 / 集醒・事に處するは斬截ならざるべからず
處事不可不斬截,存心不可不寬舒,待己不可不嚴明,與人不可不和氣。
新字:処事不可不斬截,存心不可不寛舒,待己不可不厳明,与人不可不和気。
書き下し
事に處するは斬截ならざるべからず、心を存するは寬舒ならざるべからず、己を待つは嚴明ならざるべからず、人に與するは和氣ならざるべからず。
現代語訳
事に対処するときは、きっぱりと決断しなければなりません。心を保つときは、ゆったりとのびやかでなければなりません。自分を扱うときは、厳しく明らかでなければなりません。人と付き合うときは、和やかでなければなりません。
解説
事、心、己、人という四つに対して、それぞれふさわしい態度を示した一則です。斬截はすっぱりと断ち切るようにきっぱりしていること、寛舒はゆったりとして伸びやかなこと、厳明は厳しく曖昧さのないこと、和気は穏やかで和やかなことです。仕事の判断はきっぱりと、心はゆったりと、自分には厳しく、人には穏やかに、と対照的な態度が組み合わされています。仕事がきっぱりしている人は心も硬くなりがちで、自分に厳しい人は人にも厳しくなりがちです。その偏りを避け、場面ごとに態度を使い分けるところに、成熟した人の姿があります。自分はどこで態度を取り違えているかを点検してみるとよいでしょう。
この章句が説くこと
処世決断律己寛容修身
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集醒・身は嚴重、意は閒定を要す身は嚴重なるを要し、意は閒定なるを要す。 色は溫雅なるを要し、氣は和平なるを要す。 語は簡徐なるを要し、心は光明なるを要す。 量は濶大なるを要し、志は果毅なるを要す。 機は縝密なるを要し、事は妥當なるを要す。
-
『酔古堂剣掃』集醒・大事難事には擔當を看る大事難事には、擔當を看る。逆境順境には、襟度を看る。喜に臨み怒に臨みては、涵養を看る。群行群止には、識見を看る。
-
『酔古堂剣掃』集醒・安詳は事に處するの第一法安詳は是れ事に處するの第一法、謙退は是れ身を保つの第一法、涵容は是れ人に處するの第一法、灑脫は是れ心を養ふの第一法なり。
-
『酔古堂剣掃』集法・好惡は驟かに施すべからず好醜は太だ明らかにすべからず、議論は盡くすを務むべからず、情勢は殫竭すべからず、好惡は驟かに施すべからず。
-
『酔古堂剣掃』集醒・熟思すれば其の情を得事に處するは最も當に熟思緩處すべし。熟思すれば則ち其の情を得、緩處すれば則ち其の當を得。必ず能く人の忍ぶ能はざるの觸忤を忍べば、斯ち能く人の為す能はざるの事功を為さん。
-
『酔古堂剣掃』集醒・多情の者は與に妍媸を定むべからず多情の者は、與に妍媸を定むべからず。多誼の者は、與に取與を定むべからず。多氣の者は、與に雌雄を定むべからず。多興の者は、與に去住を定むべからず。