酔古堂剣掃 / 集醒・夢裏便ち張主する能はず
眉睫才交,夢裏便不能張主;眼光落地,死去又安得分明。
書き下し
眉睫才かに交はれば、夢裏便ち張主する能はず。眼光地に落つれば、死し去りて又安んぞ分明なるを得ん。
現代語訳
まぶたが合わさって眠りに入ったばかりで、もう夢の中では自分の主になることができません。まして目の光が地に落ちて死んでしまえば、どうしてはっきりとした心を保てるでしょうか。
解説
眠りと死を重ねて、生きているうちに心の主となる修養の大切さを説いた一則です。眉睫が交わるとは、まぶたが閉じて眠りに落ちることです。張主は自分で主導権を握ることで、夢の中では心を思いどおりにできないことを言います。眼光落地は目の光が消えること、つまり死を指します。眠りというわずかな間でさえ心を制御できないのに、死に臨んで明晰でいられるはずがない、というのです。仏教や道教では、夢の中でも心が乱れないことを修行の目安とすることがあります。生きて目覚めているうちに心を鍛えておかなければ、最後のときに慌てることになるという戒めとして受け止めたいものです。
この章句が説くこと
修身生死覚醒心境無常
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