酔古堂剣掃 / 集醒・當に德性を以て客氣を消すべし
人之嗜名節,嗜文章,嗜游俠,如好酒然。易動客氣,當以德性消之。
新字:人之嗜名節,嗜文章,嗜游侠,如好酒然。易動客気,当以徳性消之。
書き下し
人の名節を嗜み、文章を嗜み、游俠を嗜むは、酒を好むが如く然り。客氣を動かし易し、當に德性を以て之を消すべし。
現代語訳
人が名誉と節操を好み、文章を好み、任俠を好むのは、酒を好むのと同じようなものです。一時の血気をかき立てやすいので、徳性によってそれを鎮めるべきです。
解説
一見立派な好みにも、酒のように人を酔わせる危うさがあると説く一則です。名節、文章、遊侠は、どれも志ある人が好むものです。しかし、それに熱中すると、客気、つまりうわついた血気や見栄の気持ちが動きやすくなります。名節にこだわる人は人を裁き、文章を好む人は才を誇り、遊侠を好む人は無謀な行動に走りがちです。酒が好きな人が飲みすぎて身を誤るのと同じだというのです。そこで、生まれつきの徳性、落ち着いた本性によって、その熱を冷まさなければならないと説きます。仕事への情熱や正義感も、行き過ぎれば人を傷つけます。熱くなったときほど、一歩引いて自分を見つめる落ち着きを持ちたいものです。
この章句が説くこと
客気修身節制名節徳性
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