酔古堂剣掃 / 集醒・病根は一の戀の字に在り
沾泥帶水之累,病根在一戀字;隨方逐圓之妙,便宜在一耐字。
新字:沾泥帯水之累,病根在一恋字;随方逐円之妙,便宜在一耐字。
書き下し
泥に沾ひ水を帶ぶるの累は、病根一の戀の字に在り。方に隨ひ圓を逐ふの妙は、便宜一の耐の字に在り。
現代語訳
泥にまみれ水を引きずるような煩いは、その病の根が「恋」という一字、つまり執着にあります。四角いものには四角く、丸いものには丸く合わせる妙は、その利点が「耐」という一字、つまり堪えることにあります。
解説
身の煩いの原因と、しなやかな処世の秘訣を、それぞれ一字に集約した対句です。沾泥帯水は、泥や水が体にまとわりつくように、世俗の煩いが離れないことです。その根本は恋、つまり物や地位や人への執着にあると言います。随方逐円は、器が四角なら四角に、丸ければ丸くなる水のように、相手や状況に合わせて自在にふるまうことです。その妙味は耐、つまりこらえることにあります。自分を押し通したい気持ちを耐えてこそ、状況に柔らかく合わせられるのです。何かにとらわれて身動きが取れないときは執着を、周りとうまくいかないときは忍耐を、それぞれ点検してみるとよいでしょう。
この章句が説くこと
執着忍処世柔軟修身
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