酔古堂剣掃 / 集醒・極迷の處より迷ひを識る
從極迷處識迷,則到處醒;將難放懷一放,則萬境寬。
新字:従極迷処識迷,則到処醒;将難放懐一放,則万境寛。
書き下し
極迷の處より迷ひを識れば、則ち到る處醒む。放懷し難きを將て一たび放てば、則ち萬境寬し。
現代語訳
迷いのきわまったところで迷いを見抜けば、どこにいても目が醒めています。なかなか手放せない思いを一度手放してみれば、あらゆる境遇が広々と感じられます。
解説
迷いと執着から抜け出すための心の転換を述べた対句です。極迷の処とは、もっとも深く迷っているところです。そこでこそ自分が迷っていると気づけば、その気づきはどこへ行っても自分を醒めさせる力になります。放懐は心の中のわだかまりを放つこと、万境はあらゆる境遇です。どうしても手放せないと思っていることを、思い切って一度手放してみると、周りの世界が急に広く見えてきます。いちばん執着しているところにこそ、いちばん大きな解放があるという逆説です。悩みの渦中にいるときは苦しいものですが、そのただ中こそが目覚めの機会だと思えば、向き合う勇気が湧いてくるのではないでしょうか。
この章句が説くこと
覚醒執着放下修身心境
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