酔古堂剣掃 / 集醒・脫穎の才は囊に處りて見はる
脫穎之才,處囊而後見;絕塵之足,歷塊以方知。
新字:脱穎之才,処嚢而後見;絶塵之足,歴塊以方知。
書き下し
脫穎の才は、囊に處りて而る後に見はる。絕塵の足は、塊を歷て以て方に知る。
現代語訳
袋の中から錐の先が突き出るような才能は、袋の中に置かれてはじめて現れます。塵も立てずに駆ける駿馬の足は、土くれをまたぐように国々を駆け抜けてみてはじめてわかります。
解説
すぐれた才能は、それを試す場に置かれて初めて明らかになると説く対句です。脱穎は、戦国時代の毛遂が、錐を袋に入れればすぐに先が突き出ると言って自らを推薦した故事によります。絶塵の足は、塵も残さぬ速さで走る名馬のことです。歴塊は、名馬が土くれをまたぐように都や国をたやすく越えていくさまで、漢の王褒の文にも見える表現です。才能は、何もしていないときには周りから見えません。袋に入れられるように何かの場を与えられ、実際に走らされて初めて、その真価が知られます。自分の力が認められないと嘆く前に、試される場に身を置く勇気を持つこと、また人の上に立つ人は、才能が現れる場を与えることが大切でしょう。
この章句が説くこと
才能人材試練用人立志
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