酔古堂剣掃 / 集醒・功成り行滿つるの士は末路を觀る
事窮勢蹙之人,當原其初心;功成行滿之士,要觀其末路。
新字:事窮勢蹙之人,当原其初心;功成行満之士,要観其末路。
書き下し
事窮まり勢蹙まるの人は、當に其の初心を原ぬべし。功成り行滿つるの士は、其の末路を觀るを要す。
現代語訳
事業が行き詰まり勢いが衰えた人については、その人がはじめに抱いていた志を尋ねてみるべきです。功績を上げ行いが満ち足りた人については、その人の晩年の身の処し方を見る必要があります。
解説
人を評価するときの着眼点を述べた対句です。菜根譚にもほぼ同じ句があります。落ちぶれた人を見るときは、今の失敗だけで判断せず、最初にどんな志で始めたのかを見るべきだと言います。志が正しければ、失敗しても評価すべき点はあるからです。反対に成功した人を見るときは、今の栄光だけで判断せず、最後まで身を誤らないかを見るべきだと言います。功成り名遂げた後に驕って身を滅ぼす例は、歴史上に数えきれません。人の評価は一時点では決まらず、始まりと終わりを見て初めて定まるという考え方です。自分自身についても、うまくいかないときは初心を思い出し、うまくいったときは終わり方を意識することが大切でしょう。
この章句が説くこと
初心晩節処世人物修身
関連する章句
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菜根譚・前集人の事窮まり勢い蹙(せま)るに至らば、宜しく其の初心を原(たず)ぬべし。士は行い満ち功成るに当たらば、其の末路を観るを要す。
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『酔古堂剣掃』集靈・事を敗るは多く志を得る時に因る名を成すは每に窮苦の日に在り、事を敗るは多く志を得る時に因る。
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『酔古堂剣掃』集醒・入門一たび差へば發端に緒無ければ、歸結も還た自ら支離す。 入門一たび差へば、進步も終に恍惚と成る。
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『酔古堂剣掃』集法・故舊の交はりは意氣愈〻新たに故舊の交はりに遇へば、意氣愈〻新たなるを要し、隱微の事に處すれば、心跡宜しく愈〻顯らかなるべし、衰朽の人を待てば、恩禮愈〻隆きを要す。
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『酔古堂剣掃』集奇・後生を獎惜す先輩を議論するは、畢竟學問沒き人なり。 後生を獎惜するは、定然世道の寄に關はる。
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『酔古堂剣掃』集醒・背後の毀り無からしむ人をして面前の譽れ有らしむるは、人をして背後の毀り無からしむるに若かず。人をして乍交の懽び有らしむるは、人をして久處の厭ひ無からしむるに若かず。