酔古堂剣掃 / 集醒・窮交の能く長き所以
彼無望德,此無示恩,窮交所以能長;望不勝奢,欲不勝饜,利交所以必忤。
新字:彼無望徳,此無示恩,窮交所以能長;望不勝奢,欲不勝饜,利交所以必忤。
書き下し
彼に德を望むこと無く、此に恩を示すこと無し、窮交の能く長き所以なり。望は奢に勝へず、欲は饜くに勝へず、利交の必ず忤ふ所以なり。
現代語訳
相手は恩恵を期待せず、こちらも恩を着せることがない、これが貧しい者どうしの交わりが長続きする理由です。期待はどこまでも膨らみ、欲はいくら満たしても飽き足りることがない、これが利益でつながる交わりが必ず仲違いする理由です。
解説
貧しい者どうしの交わりと、利益でつながる交わりを対比した一則です。窮交とは、困窮した境遇の者どうしの付き合いのことです。そこでは互いに見返りを期待せず、恩を売ることもないので、関係が素直で長続きします。反対に利交、つまり損得でつながる関係では、期待がどんどん大きくなり、欲も満たされることがありません。やがて期待が裏切られたと感じたとき、関係は必ず壊れてしまいます。見返りを求める気持ちが強いほど、人間関係は不安定になるという洞察です。取引先や仕事仲間との関係でも、損得を超えた信頼があるかどうかが、長い付き合いになるかの分かれ目になるでしょう。
この章句が説くこと
交友信頼名利処世欲望
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