孫子 / 用間篇
五間俱起,莫知其道,是謂神紀,人君之寶也。
新字:五間俱起,莫知其道,是謂神紀,人君之宝也。
書き下し
五間俱に起こりて、其の道を知ること莫し。是を神紀と謂う、人君の宝なり。
現代語訳
五種類の間者が同時に働き、誰もその仕組みを知ることがない。これを神紀という。君主の宝である。
解説
五つの情報経路を同時に走らせ、しかも全体像を誰も把握できないようにする。これが神紀——神妙な仕組みだと孫子は言う。単一の情報源に頼らないことと、経路どうしを切り分けておくことの二つが要点である。一人の有能な部下を通じてしか現場が見えない状態は、その人の見方に組織全体が縛られることを意味する。複数の経路を持ち、それぞれが互いを知らないようにしておけば、情報の歪みは相互に検証できる。情報網は本数ではなく、独立性で価値が決まる。