孫子 / 火攻篇
凡軍必知有五火之變,以數守之。故以火佐攻者明,以水佐攻者強。水可以絕,不可以奪。
新字:凡軍必知有五火之変,以数守之。故以火佐攻者明,以水佐攻者強。水可以絶,不可以奪。
書き下し
凡そ軍は必ず五火の変有るを知り、数を以て之を守る。故に火を以て攻を佐くる者は明なり、水を以て攻を佐くる者は強なり。水は以て絶つべきも、以て奪うべからず。
現代語訳
軍は必ず火攻めの五つの変化があることを知り、条件を計算して備える。火で攻撃を助ける者は明晰であり、水で攻撃を助ける者は強力である。ただし水は敵を分断できるが、奪い取ることはできない。
解説
火と水を比較して、それぞれの限界まで述べている点が周到である。水は分断できるが奪えない——威力があっても、得られるものが違う。手段を選ぶときは、強さではなく、それで何が手に入るかで判断せよという含意がある。事業でも、競合を市場から締め出す手と、顧客を自社に移す手は別物である。前者に成功しても後者が起きるとは限らない。効果の大きさに目を奪われて、目的との対応を確かめないまま手段を選ぶことは多い。