孫子 / 火攻篇
行火必有因,烟火必素具。發火有時,起火有日。
新字:行火必有因,烟火必素具。発火有時,起火有日。
書き下し
火を行うには必ず因有り、烟火は必ず素より具う。火を発するに時有り、火を起こすに日有り。
現代語訳
火攻を仕掛けるには、必ずそれを可能にする条件がなければならない。火をつける道具は、日頃から用意しておく必要がある。火を放つには適した時があり、火を起こすには適した日がある。
解説
火攻篇の冒頭で、孫子は火攻を「思いつきの奇襲」ではなく、周到な準備の産物として説きます。火を使うには、それが燃え広がる条件(乾燥・風向き)が要り、着火の道具は普段からそろえておかねばならず、実行には適した時と日がある、と。派手な一手ほど、地味な下準備と好機の見極めに支えられている、というのです。仕事でも、大胆な打ち手——大型キャンペーン、勝負の提案、思い切った転換——は、条件が整い、道具立てが済み、タイミングが来てはじめて効きます。準備なく勢いだけで放てば、火は燃え広がらず、自分がやけどをしかねません。「いつでも切れる札」を平時に用意し、好機に合わせて放つ。派手さの裏の周到さこそ、火攻の本質です。
この章句が説くこと
火攻因周到な準備素時好機
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