孫子 / 火攻篇
行火必有因,烟火必素具。發火有時,起火有日。
新字:行火必有因,烟火必素具。発火有時,起火有日。
書き下し
火を行うには必ず因有り、烟火は必ず素より具う。火を発するに時有り、火を起こすに日有り。
現代語訳
火攻を仕掛けるには、必ずそれを可能にする条件がなければならない。火をつける道具は、日頃から用意しておく必要がある。火を放つには適した時があり、火を起こすには適した日がある。
解説
火攻篇の冒頭で、孫子は火攻を「思いつきの奇襲」ではなく、周到な準備の産物として説きます。火を使うには、それが燃え広がる条件(乾燥・風向き)が要り、着火の道具は普段からそろえておかねばならず、実行には適した時と日がある、と。派手な一手ほど、地味な下準備と好機の見極めに支えられている、というのです。仕事でも、大胆な打ち手——大型キャンペーン、勝負の提案、思い切った転換——は、条件が整い、道具立てが済み、タイミングが来てはじめて効きます。準備なく勢いだけで放てば、火は燃え広がらず、自分がやけどをしかねません。「いつでも切れる札」を平時に用意し、好機に合わせて放つ。派手さの裏の周到さこそ、火攻の本質です。
この章句が説くこと
火攻因周到な準備素時好機
関連する章句
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孫子・火攻篇凡そ火攻に五有り。一に曰く火人、二に曰く火積、三に曰く火輜、四に曰く火庫、五に曰く火隊。
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呂氏春秋・首時①聖人の事に於ける、緩なるに似て急に、遲きに似て速かに、以て時を待つ。王季歷困しみて死す。文王之を苦しみ、有た羑里の醜を忘れざれども、時未だ可ならざるなり。武王之に事え、夙夜懈らざりしも、亦た玉門の辱を忘れず。立ちて十二年にして、甲子の事を成せり。時は固に得易からざるなり。太公望は東夷の士なり。一世を定めんと欲すれども其の主無し。文王の賢なるを聞き、故らに渭に釣りして以て之を觀る。
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呂氏春秋・審時①凡そ農の道は、時に厚きを寶と為す。木を斬ること時ならざれば、折れずんば必ず穗く。稼就って穫らざれば、必ず天の菑いに遇う。夫れ稼は之を為す者は人なり、之を生ずる者は地なり、之を養う者は天なり。是を以て人之を稼するに足を容れ、之を耨るに耨を容れ、之を據うに手を容る。此を之れ耕道と謂う。
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