孫子 / 九地篇
九地之變,屈伸之利,人情之理,不可不察也。
新字:九地之変,屈伸之利,人情之理,不可不察也。
書き下し
九地の変、屈伸の利、人情の理は、察せざるべからず。
現代語訳
九つの地形の変化、退くことと進むことの利害、そして人の心の道理は、よく見きわめねばならない。
解説
九地篇の中で将が把握すべきものを三つに要約した一句である。地形、進退、人情——外的条件、判断、そして人の心。この三つ目が並んでいることに注目したい。孫子は繰り返し人の心理を計算に入れており、それを地形と同じ「察するべき対象」として扱った。感情は制御するものでも無視するものでもなく、観察して前提に組み込むものだという姿勢である。人の気持ちを慮ることを情の問題として脇に置く経営者は多いが、孫子に言わせればそれは地形を見ずに行軍するのと同じである。