孫子 / 九地篇
是故方馬埋輪,未足恃也;齊勇如一,政之道也;剛柔皆得,地之理也。故善用兵者,攜手若使一人,不得已也。
新字:是故方馬埋輪,未足恃也;斉勇如一,政之道也;剛柔皆得,地之理也。故善用兵者,攜手若使一人,不得已也。
書き下し
是の故に馬を方べ輪を埋むるも、未だ恃むに足らず。勇を斉しくして一の如くするは、政の道なり。剛柔皆な得るは、地の理なり。故に善く兵を用うる者は、手を攜えて一人を使うが若きは、已むを得ざらしむればなり。
現代語訳
だから馬をつなぎ車輪を埋めて逃げられなくしても、それだけでは頼りにならない。勇気を揃えて一つにするのは、統率のやり方による。強い者も弱い者も活かせるのは、地の利の道理による。戦の巧みな者が全軍を手を取り合わせて一人を使うように動かせるのは、そうせざるを得ない状況を作るからである。
解説
物理的に退路を断つだけでは足りない、という現実的な但し書きから始まる。逃げられなくすることと、心を一つにすることは別だと孫子は言う。統率のやり方と地の利、つまり制度と条件の両方が要る。最後の「已むを得ざらしむ」が結論で、人を一つに動かす力は命令ではなく状況から生まれるという主張が繰り返される。剛柔皆得——強い者だけでなく弱い者も活かせるという一句も見逃せない。揃えるとは、粒を揃えることではない。
この章句が説くこと
統率剛柔状況一体化配置
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