孫子 / 九変篇
故將通於九變之利者,知用兵矣;將不通於九變之利,雖知地形,不能得地之利矣;治兵不知九變之術,雖知地利,不能得人之用矣。
新字:故将通於九変之利者,知用兵矣;将不通於九変之利,雖知地形,不能得地之利矣;治兵不知九変之術,雖知地利,不能得人之用矣。
書き下し
故に将、九変の利に通ずる者は、用兵を知る。将、九変の利に通ぜざれば、地形を知ると雖も、地の利を得ること能わず。兵を治めて九変の術を知らざれば、地利を知ると雖も、人の用を得ること能わず。
現代語訳
将軍が九つの変化の利に通じていれば、用兵を知っていると言える。通じていなければ、地形を知っていても地の利を得られない。兵を率いて変化の術を知らなければ、地の利を知っていても人を使いこなせない。
解説
知識と応用は別だという主張を、三段重ねで畳みかけている。地形を知っていても利を得られず、地の利を知っていても人を使えない。知っていることが増えるほど、使えないときの損も大きくなるという含みがある。九変とは状況に応じて原則を曲げる判断のことで、原則を覚えることより難しい。マニュアルを整備した組織が、かえって例外に弱くなるのはこの構造である。原則は出発点であって到達点ではない。