呻吟語 / 内篇・應務・損損する無く、益益する無し
無損損,無益益,無通通,無塞塞,此調天地之道,理人物之宜也。然人君自奉無嫌於損損,於百姓無嫌於益益;君子擴理路無嫌於通通,杜欲竇無嫌於塞塞。
書き下し
損を損する無く、益を益する無く、通を通する無く、塞を塞する無し。此れ天地の道を調へ、人物の宜しきを理むるなり。然れども人君の自ら奉ずるは損を損するに嫌ひ無く、百姓に於ては益を益するに嫌ひ無し。君子の理路を擴むるは通を通するに嫌ひ無く、欲竇を杜ぐは塞を塞するに嫌ひ無し。
現代語訳
減っているものをさらに減らさず、増えているものをさらに増やさず、通じているものをさらに通さず、塞がっているものをさらに塞がない。これが天地の道を調え、人と物のふさわしさを整えることです。ただし君主が自分に施すものは、減っているものをさらに減らして構いません。民に対しては、増えているものをさらに増やして構いません。君子が理の道筋を広げるのは、通じているものをさらに通じさせて構いません。欲の穴を塞ぐのは、塞がっているものをさらに塞いで構いません。
解説
均衡を保つ原則を四つ挙げ、そのうえで例外を四つ示します。原則は行きすぎを重ねないこと。しかし自分への支出、民への利益、理の道筋、欲の穴については、一方向に振り切ってよいとされます。原則と例外を同じ形式で並べることで、どこで均衡を破ってよいかが明確になる一段です。原則と例外を同じ形式で並べることで、どこで均衡を破ってよいかが明確になります。
この章句が説くこと
均衡例外損益通塞原則
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