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孫子 / 軍争篇

舉軍而爭利,則不及;委軍而爭利,則輜重捐。是故卷甲而趨,日夜不處,倍道兼行,百里而爭利,則擒三軍將,勁者先,疲者後,其法十一而至。

新字:舉軍而争利,則不及;委軍而争利,則輜重捐。是故巻甲而趨,日夜不処,倍道兼行,百里而争利,則擒三軍将,勁者先,疲者後,其法十一而至。

書き下し

軍を挙げて利を争えば則ち及ばず、軍を委てて利を争えば則ち輜重捐てらる。是の故に甲を巻きて趨り、日夜処らず、道を倍して兼行し、百里にして利を争えば、則ち三軍の将を擒にせらる。勁き者は先んじ、疲るる者は後れ、其の法十に一のみ至る。

現代語訳

全軍を挙げて利を争えば間に合わず、荷物を捨てて身軽に争えば補給を失う。鎧を巻いて走り、昼夜休まず、倍の速さで強行軍し、百里先の利を争えば、全軍の将が捕らえられる。強い者が先に行き、疲れた者が遅れ、結局十分の一しか到着しない。

解説

速さを求めた強行軍の代償を、具体的な数字で示した一段である。十分の一しか着かないという計算が容赦ない。ここで問われているのは速度そのものではなく、組織を保ったまま速く動けるかどうかである。号令をかければ動き出す人はいるが、ついてこられない人が脱落し、着いた頃には戦える状態ではない。急な方針転換や短納期の号令が、現場で何を捨てさせているか。速さの代償は、たいてい号令をかけた側からは見えない。

この一句を、あなたの毎日に。

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