論語 / 子路篇
子曰:「苟有用我者,期月而已可也,三年有成。」
書き下し
子曰く、苟くも我を用うる者有らば、期月にして已に可なり。三年にして成る有らん。
現代語訳
先生がおっしゃった。「もし私を用いる者があれば、一年でそれなりの形になる。三年あれば成し遂げてみせる。」
解説
用いられなかった孔子の、強い自負である。しかも期間を具体的に区切っている。一年で形、三年で完成。曖昧な自信ではなく、工程の見積もりとして語られている。これは重要な違いだ。任せてほしいと言うだけの人と、いつまでに何ができるかを言える人では、任せる側の判断材料がまるで違う。自負を語るときの形として学ぶところがある。できます、という表明には検証がない。一年でここまで、三年でここまでと言えば、任せた側は途中で確認でき、外れれば責任を問える。逆に言えば、期間を切れないなら、その自負は根拠が薄い可能性がある。孔子は用いられなかったが、いつでも受けられる見積もりを持っていた。機会が来たときに動けるのは、そういう人である。
この章句が説くこと
自負見積もり期間登用準備
関連する章句
-
孫子・謀攻篇櫓轒轀を修め、器械を具うるに、三月にして後に成る。距闉するに、又三月にして後に已む。
-
『韓非子』南面第十八人臣、事を言うを易くする者は、資を索むること少なくして、事を以て主を誣う。主、誘われて察せず、因りて之を多とすれば、則ち是れ臣反りて事を以て主を制するなり。是くの如き者は之を誘と謂い、事に誘わるる者は患に困しむ。其の進言は少なく、其の退費は多く、功有りと雖も、其の進言信ぜられず。
-
『呻吟語』内篇・應務・事を料るに疏にして身を謀るに拙なり事を料るに疏にして、身を謀るに拙なるは、明哲なる者の懼るる所なり。
-
論語・子路篇子曰く、如し王者有らば、必ず世にして後に仁ならん。
-
『墨子』非攻下偏く此の物を具えて、而して致して焉に從事すれば、則ち是れ國家、卒を失いて、百姓、務めを易うるなり。今、嘗みに其の攻伐を好むを説くの國を觀ざるや。若し中に師を興さしむれば、君子・庶人や必ず且つ數千、徒は倍して十萬、然る後に以て師として動くに足る。久しき者は數嵗、速やかなる者は數月なり。是れ上は聴治するに暇あらず、士は其の官府を治むるに暇あらず、農夫は稼穡するに暇あらず、婦人は紡績織紝するに暇あらず。則ち是れ國家、卒を失いて、百姓、務めを易うるなり。然り而して又た其の車馬の罷弊するや、幔幕帷盖、三軍の用、甲兵の備え、五分にして其の一を得ば、則ち猶お序疏を為すなり。
-
『韓非子』初見秦第一一挙にして霸王の名成る可きなり、四隣の諸侯朝す可きなり。而るに謀臣為さず、軍を引きて退き、復た荆人と和を為す。荆人をして亡国を収め、散民を聚め、社稷の主を立て、宗廟を置き、天下を率いて西面して以て秦と難を為さしむ。此れ固より以て霸王の道を失うこと一なり。