孫子 / 勢篇
激水之疾,至於漂石者,勢也;鷙鳥之疾,至於毀折者,節也。故善戰者,其勢險,其節短。
新字:激水之疾,至於漂石者,勢也;鷙鳥之疾,至於毀折者,節也。故善戦者,其勢険,其節短。
書き下し
激水の疾くして石を漂わすに至る者は、勢なり。鷙鳥の疾くして毀折に至る者は、節なり。故に善く戦う者は、其の勢は険にして、其の節は短し。
現代語訳
激流が石を押し流すほどの力を持つのは、勢いによる。猛禽が獲物の骨を砕くのは、間合いの取り方による。だから戦の巧みな者は、勢いを切り立たせ、仕掛ける間合いを短くする。
解説
勢と節という二つの概念を、水と鳥で説明した一段である。勢は溜めた力、節は放つ瞬間の距離とタイミングを指す。水は高いところから落ちるほど強く、鷹は近づいてから一撃する。どちらが欠けても効かない。準備を重ねても仕掛けが遠ければ力は散り、間合いだけ詰めても溜めがなければ弾かれる。事業においても、長く準備した施策を中途半端な規模で小出しにすると、勢いも間合いも失われる。溜めることと、近づいてから一気に出すことは、常に一組で考えたい。
この章句が説くこと
勢節タイミング集中一撃
関連する章句
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易経・彖伝「節(せつ)は亨(とお)る」。剛柔分かれて剛は中を得たり。「苦節(くせつ)は貞(てい)にすべからず」とは、其の道窮(きわ)まればなり。説(よろこ)びて以て險(けん)を行き、位に當(あ)たりて以て節し、中正にして以て通ず。天地節して四時(しじ)成る。節するに制度を以てすれば、財を傷(そこな)わず、民を害せず。
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『墨子』節葬下故に衣食なる者は、人の生の利なり。然も且つ猶お尚お節有り。葬埋なる者は、人の死の利なり。夫れ何ぞ獨り此に節無からんや。子墨子、制して葬埋の法を為りて曰く、棺は三寸、以て骨を朽ちしむるに足る。衣は三領、以て肉を朽ちしむるに足る。地を掘るの深さは、下は菹漏する無く、氣は上に發洩する無く、壟は以て其の所を期するに足れば、則ち止むのみ。哭して往き哭して來り、反りて衣食の財に從事し、祭祀に佴きて、以て孝を親に致す。故に曰く、子墨子の法、死生の利を失わざる者は、此れなり。故に子墨子言いて曰く、今、天下の士君子、咸な將に仁義を為し、上士たるを求めんと欲すと謂う。上は聖王の道に中らんと欲し、下は國家百姓の利に中らんと欲せば、故に當に節葬の政を為すが若きにして、察せざる可からざる者、此れなり。
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論語・衛霊公篇子曰く、由、徳を知る者は鮮なし。
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風姿花伝・第七 別紙口伝一、こまかなる口伝にいはく、音曲、舞、はたらき、振、風情、これまた同じ心なり。これいつもの風情音曲なれば、さやうにぞあらんずらんと人の思ひなれたるところを、さのみに住せずして、心根に同じ振ながらも、もとよりはかるがると風体を嗜み、いつもの音曲なれども、なほ故実をめぐらして曲を彩り、声色を嗜みて、わが心にも今ほどに執することなしと大事にして、このわざをすれば、見聞く人常よりもなほおもしろしなど、批判にあふことあり。これは見聞く人の為、めづらしき心にあらずや。然れば、同じ音曲風情をするとも、上手のしたらんは別におもしろかるべし。下手はもとよりならひおぼえつる節博士の分なれば、めづらしき思ひなし。上手と申すは、同じ節かかりなれども曲を心得たり。曲といふは節のうへの花なり。同じ上手同じ花のうちにても、無上の公案をきはめたらんは、なほかつ花を知るべし。凡そ音曲にも、節は定まれる形木、曲は上手の物なり。舞にも、手は習へる形木、品かかりは上手の物なり。
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