孫子 / 勢篇
激水之疾,至於漂石者,勢也;鷙鳥之疾,至於毀折者,節也。故善戰者,其勢險,其節短。
新字:激水之疾,至於漂石者,勢也;鷙鳥之疾,至於毀折者,節也。故善戦者,其勢険,其節短。
書き下し
激水の疾くして石を漂わすに至る者は、勢なり。鷙鳥の疾くして毀折に至る者は、節なり。故に善く戦う者は、其の勢は険にして、其の節は短し。
現代語訳
激流が石を押し流すほどの力を持つのは、勢いによる。猛禽が獲物の骨を砕くのは、間合いの取り方による。だから戦の巧みな者は、勢いを切り立たせ、仕掛ける間合いを短くする。
解説
勢と節という二つの概念を、水と鳥で説明した一段である。勢は溜めた力、節は放つ瞬間の距離とタイミングを指す。水は高いところから落ちるほど強く、鷹は近づいてから一撃する。どちらが欠けても効かない。準備を重ねても仕掛けが遠ければ力は散り、間合いだけ詰めても溜めがなければ弾かれる。事業においても、長く準備した施策を中途半端な規模で小出しにすると、勢いも間合いも失われる。溜めることと、近づいてから一気に出すことは、常に一組で考えたい。