孫子 / 始計篇
計利以聽,乃為之勢,以佐其外。
新字:計利以聴,乃為之勢,以佐其外。
書き下し
計利を以て聴き、乃ちこれを勢と為して、その外を佐く。
現代語訳
計算して有利なら実行し、勢いを作って補強する。
解説
始計篇の締めくくりで、孫子が「勢」の考え方を示す一節です。計算の結果、有利だと判断できたなら実行に移す。そのうえで「勢い」を作り出し、それを外側からの後押しとして活かせ、というのです。緻密な分析(計)と、状況が生み出す勢い(勢)は、対立するものではなく、両輪だという発想です。仕事でも、綿密に計画して「いける」と見極めたら、次はその流れに勢いをつけることが大切です。追い風や好機、周囲の後押しといった外的な力をうまく取り込めば、同じ計画でも成果は何倍にもなる。冷静な計算で方向を定め、勢いで加速する。理と勢を組み合わせる——孫子の実践的な戦略観が、ここに凝縮されています。
この章句が説くこと
勢計算実行
関連する章句
-
『墨子』雜守升食は、嵗を終うるに三十六石。參食は、嵗を終うるに二十四石。四食は、嵗を終うるに十八石。五食は、嵗を終うるに十四石升。六食は、嵗を終うるに十二石。升食は五升を食らい、參食は三升を食らい、四食は二升半を食らい、五食は二升を食らい、六食は一升大半を食らう。日に再び食す。死を救うの時、日に二升なる者は二十日、日に三升なる者は三十日、日に四升なる者は四十日。是くの如くして民、九十日の約を免る。
-
『墨子』備城門守法。五十步に丈夫十人、丁女二十人、老小十人。之を計るに五十步に四百人。城下の樓本、率ね一步に一人、二十步に二十人。城の小大、此を以て之を率し、乃ち以て圍を守るに足る。宕馮、面して之に蛾傳せんに、主人は則ち先ず之を知る。主人、利し、客、適す。客、攻むるに遂を以てし、十萬の衆にして、攻むること四隊に過ぐる無し。上術は廣さ五百步、中術は三百步、下術は五十步。諸そ百五步を盡くさざる者は、主人、利して客、病む。廣さ五百步の隊は、丈夫千人、丁女子二千人、老小千人、凡そ千人にして、以て之に應ずるに足る。此れ守術の數なり。
-
『正法眼蔵随聞記』巻三作すことの難きにはあらず、能くすることの難きなり、出離得道の行は人ごとに心にかけたるには似たれとも、能くする人まれなればなり、生死事大なり、無常迅速なり、心を緩くすることなかれ、世を捨ては実とに世を捨つべきなり、仮名はいかにてもありなんとおぼゆるなり、
-
論語・子罕篇子曰く、之に語げて惰らざる者は、其れ回なるか。
-
論語・公冶長篇子路聞くこと有りて、未だ之を行うこと能わざれば、唯だ聞くこと有らんことを恐る。
-
『後世への最大遺物』第二回・人に頼らず天と己にたよるその考えを持ったばかりでなく、その考えを実行した。その話は長うございますけれども、ついには何万石という村々を改良して、自分の身をことごとく人のために使った。旧幕の末路にあたって、経済上、農業改良上について非常の功労のあった人であります。それでわれわれもそういう人の生涯、二宮金次郎先生のような人の生涯を見ますときに、「もしあの人にもああいうことができたならば、私にもできないことはない」という考えを起します。普通の考えではありますけれども、非常に価値のある考えであります。それで人に頼らずとも、われわれが神にたより己にたよって宇宙の法則に従えば、この世界はわれわれの望むとおりになり、この世界にわが考えを行うことができるという感覚が起ってくる。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る