孫子 / 勢篇
勢如彍弩,節如發機。
新字:勢如彍弩,節如発機。
書き下し
勢は彍弩の如く、節は発機の如し。
現代語訳
勢いとは、弩(いしゆみ)をいっぱいに引き絞った状態のようであり、その一撃の節(タイミング)とは、引き金を引いて矢を放つ瞬間のようである。
解説
勢篇で、「勢」と「節」の関係を、弩(大型の弓)に例えて鮮やかに示した名句です。「勢」とは、弩を限界まで引き絞り、放てば凄まじい威力を生む、ためられたエネルギー。「節」とは、その張り詰めた力を、ここぞという一点で解き放つタイミングです。力を蓄えることと、それを一瞬で爆発させること——この二つが揃ってはじめて、最小の動きで最大の効果が生まれる、というのです。仕事でも、日頃から力(準備・態勢・機運)を十分にためておき、ここという好機の一点で一気に放つ。だらだら力を使うのではなく、絞り込んで、決定的な瞬間に集中投下する。ためる勢いと、放つタイミング。その組み合わせの妙を、この一節は教えます。
この章句が説くこと
勢利害動機勢と節力をためる操作