孫子 / 勢篇
聲不過五,五聲之變,不可勝聽也;色不過五,五色之變,不可勝觀也;味不過五,五味之變,不可勝嘗也;戰勢不過奇正,奇正之變,不可勝窮也。奇正相生,如循環之無端,孰能窮之哉?
新字:声不過五,五声之変,不可勝聴也;色不過五,五色之変,不可勝観也;味不過五,五味之変,不可勝嘗也;戦勢不過奇正,奇正之変,不可勝窮也。奇正相生,如循環之無端,孰能窮之哉?
書き下し
声は五に過ぎざるも、五声の変は勝げて聴くべからず。色は五に過ぎざるも、五色の変は勝げて観るべからず。味は五に過ぎざるも、五味の変は勝げて嘗むべからず。戦勢は奇正に過ぎざるも、奇正の変は勝げて窮むべからず。奇正相生ずること、循環の端無きが如し、孰か能く之を窮めんや。
現代語訳
音階は五つしかないが、その組み合わせは聴き尽くせない。色は五つしかないが、その配色は見尽くせない。味は五つしかないが、その調合は味わい尽くせない。戦いの勢いも正と奇の二つしかないが、その組み合わせは窮め尽くせない。奇と正は互いを生み合い、円環に端がないようなものだ。誰がこれを窮められようか。
解説
要素は少なくても、組み合わせは無限だという洞察である。音・色・味という身近な三つを並べてから戦いに戻る構成が巧みで、読み手は理屈ではなく感覚で納得させられる。事業においても、使える手札そのものは驚くほど少ない。価格、品質、速さ、関係、場所——並べてしまえば数えられる。差がつくのは手札の数ではなく、どう組み合わせ、どの順で切るかである。新しい武器を探す前に、手持ちの組み合わせを尽くしたかを問うべきだろう。