李衛公問対 / 卷上
戰勢,不過奇正,奇正之變,不可勝窮。奇正相生,如循環之無端,孰能窮之?
新字:戦勢,不過奇正,奇正之変,不可勝窮。奇正相生,如循環之無端,孰能窮之?
書き下し
戦勢は、奇正に過ぎず、奇正の変は、勝げて窮む可からず。奇正相生ずること、循環の端無きが如し、孰か能く之を窮めんや。
現代語訳
戦いの勢いというものは、結局のところ正と奇のせめぎ合いに過ぎないが、その変化の組み合わせは無限であり、とても数え尽くすことはできない。正と奇は互いを生み出し合い、まるで端のない環がめぐるようなもので、いったい誰がそれを極め尽くせるだろうか。
解説
孫子に由来する奇正の思想を、李靖は端のない環にたとえて説く。基本の型である正と、状況に応じた変化である奇は互いを生み出し続け、その組み合わせは数え切れないという指摘である。仕事の進め方や人間関係の駆け引きも、決まったパターンを覚えれば済むものではなく、状況ごとに正と奇を組み替え続ける営みだと言える。手順を極め尽くしたと思った瞬間こそ、次の変化を見落とす隙が生まれる。
この章句が説くこと
奇正循環変化
関連する章句
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李衛公問対・卷上兵を善く用うる者は、正ならざる無く、奇ならざる無く、敵をして測ること莫からしむ。故に正も亦た勝ち、奇も亦た勝つ。三軍の士は、止だ其の勝つを知るのみにて、其の勝つ所以を知る莫し。変じて能く通ずるに非ざれば、安んぞ能く是に至らんや。
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李衛公問対・卷上兵を善くする者は、奇正は人に在るのみ。変じて之を神にするは、天に推す所以なり。
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李衛公問対・卷上凡そ将は、正にして奇無ければ、則ち守将なり。奇にして正無ければ、則ち闘将なり。奇正皆な得れば、国の輔なり。
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李衛公問対・卷上凡そ兵は前向を以て正と為し、後却を以て奇と為す。
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孫子・勢篇凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。故に善く奇を出だす者は、窮まり無きこと天地の如く、竭きざること江海の如し。終わりて復た始まるは、日月是なり。死して復た生ずるは、四時是なり。
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李衛公問対・卷上孫武の謂う所の『人を形せしめて我は形無し』とは、此れ乃ち奇正の極致なり。