修証義 / 第三章 受戒入位
次には應に三聚淨戒を受け奉るべし。第一攝律儀戒。第二攝善法戒。第三攝衆生戒なり。次には應に十重禁戒を受け奉るべし。第一不殺生戒。第二不偸盜戒。第三不邪婬戒。第四不妄語戒。第五不酤酒戒。第六不說過戒。第七不自讃毀佗戒。第八不慳法財戒。第九不瞋恚戒。第十不謗三寶戒なり。上來三歸、三聚淨戒、十重禁戒、是れ諸佛の受持したまふ所なり。
新字:次には応に三聚浄戒を受け奉るべし。第一摂律儀戒。第二摂善法戒。第三摂衆生戒なり。次には応に十重禁戒を受け奉るべし。第一不殺生戒。第二不偸盗戒。第三不邪婬戒。第四不妄語戒。第五不酤酒戒。第六不説過戒。第七不自讃毀佗戒。第八不慳法財戒。第九不瞋恚戒。第十不謗三宝戒なり。上来三帰、三聚浄戒、十重禁戒、是れ諸仏の受持したまふ所なり。
書き下し
次には応に三聚浄戒を受け奉るべし。第一摂律儀戒。第二摂善法戒。第三摂衆生戒なり。次には応に十重禁戒を受け奉るべし。第一不殺生戒。第二不偸盗戒。第三不邪婬戒。第四不妄語戒。第五不酤酒戒。第六不説過戒。第七不自讃毀佗戒。第八不慳法財戒。第九不瞋恚戒。第十不謗三宝戒なり。上来三帰、三聚浄戒、十重禁戒、是れ諸仏の受持したまふ所なり。
現代語訳
次には、三聚浄戒を受けなさい。第一は摂律儀戒、第二は摂善法戒、第三は摂衆生戒である。次には、十重禁戒を受けなさい。第一は生き物を殺さない戒、第二は盗まない戒、第三はみだらな行いをしない戒、第四は嘘をつかない戒、第五は酒を売らない戒、第六は人の過ちを言いふらさない戒、第七は自分をほめ他人をけなさない戒、第八は教えや財を惜しまない戒、第九は怒らない戒、第十は三宝をそしらない戒である。これまで述べた三帰、三聚浄戒、十重禁戒は、諸仏が受け持っておられるものである。
解説

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『十善法語』巻第二・不偸盜戒在家ニ在テハ在家ヲ利益ス。国治リ家斉フ。出家ニ在テハ出家ヲ利益ス。生死解脱ノ要路シヤ。諸ノ禅定モ此ヨリ生スル。達摩多羅禅経ニ。尸羅既ニ清浄ナレハ。三昧中ニ於テ現ストアル。三十二相モ此ヨリ生スル。薩遮経ニ三十二相差別ノ因ナシ。持戒ヲ以テ基本トストアル。三身ノ妙果モ是ヨリ生スル。羯磨疏ニ。摂律儀戒ニ因テ法身ヲ得ス。摂善法戒ニ因テ報身ヲ得ス。饒益有情戒ニ因テ応身ヲ得ストアル。塵却久遠成道ノ如来ハ不殺生戒ノ顕ルル処シヤ。福徳荘厳ノ宝勝如来ハ不偸盗戒ノ顕ルル処シヤ。得自性清浄法性如来ハ不邪婬戒ノ顕ルル処シヤ。伝戒相承ノ義如是。
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『十善法語』巻第七・不兩舌戒此戒和敬ノ儀ニ。受戒ト云コトカアルシヤ。此ハ初メテ法門ニ入トキ。トリ行フ法シヤ。凡ソ此仏性戒ハ。法体常爾古今ニ亘ルシヤ。一切世界有情非情ニ遍スルシヤ。処トシテ斯ナキコトアラス。時トシテ斯ナキコトアラスト云コトシヤ。ソレナラバ授受モイラヌカト云ニ。サウデナイ。此仏性戒ノ中ニ。妄想ニ掩ハルル者カ自ラ隔歴ヲ生シテ自心界ニ入ル。此色身ノ巣窟ニ入ル。此ヲ三界ノ生死ト名ツク。此生死界ノ中ニハ。悪作犯戒モアルシヤ。此罪悪アレハ長ニ三悪趣ノ罪累トナルシヤ。此人界ノ中。少分十善ノ力ト。仏菩薩ノ大慈等流ト相成シテ。法アリテ現スル授受ノ規則此ニ立スル。此正規則ハ上賢聖ヨリ承来リ。神祇擁護シテ瓶ノ水ヲ瓶ニ瀉ス如ク。師資相承シテ今日ニ至ル。
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『修証義』第三章 受戒入位其帰依三宝とは、正に浄信を専らにして。或は如来現在世にもあれ。或は如来滅後にもあれ、合掌し低頭して口に唱へて云く南無帰依仏。南無帰依法。南無帰依僧。仏は是れ大師なるが故に帰依す。法は良薬なるが故に帰依す。僧は勝友なるが故に帰依す。仏弟子となること必ず三帰に依る。何れの戒を受くるも、必ず三帰を受けて、其後諸戒を受くるなり。然あれば則ち三帰に依りて得戒あるなり。
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『十善法語』巻第十二・不邪見戒之下要ヲ取テイハハ。一切悪トシテ十悪業ニモルルコトハナク。一切善トシテ十善業ニモルルコトハナク。一切戒法トシテ此十善戒ニ漏ルルコトハナキシヤ。五戒八戒ト云モ此戒ノ支分シヤ。沙弥戒大比丘戒ト云モ此十善ノ体相シヤ。経中ニ二百五十。五百。三千威儀ト云モ。出家タルヘキ軌則ヲ守リ。諸ノ賢聖ノ行儀ヲ全クスルニ。此条目ノ分ルルコトニテ。本体ハ此十善シヤ。菩薩ノ軽重戒乃至八万威儀ナトトアルモ。別事テナキシヤ。出家人ハ賢聖生ノ威儀法則ヲ違ヘス。此十善ヲ全クセハ人間天上ノ師範トナルヘク。在家ハ各各其国ニ在テ其国法ヲ守リ。其家ニ在テ其家法ヲ改メス。此十善ヲ全クセハ。其身ヲ修メ。其家ヲ斉ヘ。其国ヲ平治スルニ余リアルヘキシヤ。人人箇箇賢聖ノ地位ニモ入ヘク。次第ニ満足スレハ。仏身ト合一スル時節ノ有ヘキコトシヤ。
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『十善法語』巻第一・不殺生戒上来ハ犯相シヤ。次ニ持相ヲ憶念セヨ。此殺生ノ。人道ニ背キ。天命ニ背キ。正道理ニ違フコトヲ知テ。憶念シ護持シテ。妄リニ殺サス。妄リニ悩サヌカ。世間相応ノ持戒者シヤ。此殺生ノ業果空シカラヌヲ信シ。自他共ニ繋累シ。生生ノ処ニ沈淪スルヲ恐レテ。殺サス悩サス。憎ミ恚マヌカ。出世間少分相応ノ浄持戒者シヤ。若衆生ノ当相全ク法性ノ在ル処ナルコトヲ信シ。法性ノ当相全ク衆生ノ差別ナルコトヲ知レハ。自己法性ノ衆生我戒相トナリ来ル。我慈悲心トナリ来ル。我戒体コノ衆生有テ倍增スル。我慈悲コノ衆生有テ增上スル。此濁世ニ忍ヒ難キヲ能忍フ。此難事此恚悩ノ事アツテ我忍力ヲ成就スルシヤ。賢者善人ト共ニ交テ其慈忍ノ心アルハ珍シカラヌシヤ。背恩ノ人ヲ見テ我忍力ヲ成スル。暴悪ノ人ニ対シテ我忍力ヲ成スル。憍慢ノ人ヲ見テ我忍力ヲ成スル。一衆生ノ有ル処ニ一切衆生ノ慈悲心ヲ生スル。爰許ニ至テ真正持戒者ト云ヘシ。
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『十善法語』巻第十・不邪見戒之上不悪口戒ソノ身ニアレハ。言語自ラ柔軽ナルシヤ。諸ノ罵詈呵責。悪声怨言等ノ悪賊煩悩ハヨリツカヌシヤ。不両舌戒ソノ身ニアレハ。言語ニ仁愛ノ相アラハルル。諸ノ他ノ親好ヲ破リ。隣里郷党ノ交ヲ悪クシ。君臣父子ノ間ヲ離スル讒言語諛ノ悪賊煩悩ハヨリツカヌシヤ。不貪欲戒ソノ身ニ有レハ。二六時中。到ル処ニ足ルコトヲ知ル。諸ノ多欲悪貪。威勢ヲ羨ミ。名利ニ耽ル悪賊煩悩ハヨリツカヌシヤ。不嗔恚戒ソノ身ニアレハ。五尺ノ姿全ク慈悲ト相応スル。一切ノ眉ヲ顰シテ額ヲ蹙シテ。目ニ三角ヲ生シ憂悩痛戚。嫉妬変異等ノ悪賊煩悩ハヨリツカヌシヤ。