修身要領 / 第二十一条
文芸の嗜は、人の品性を高くし精神を娯ましめ、之を大にすれば、社会の平和を助け人生の幸福を増すものなれば、亦是れ人間要務の一なりと知る可し。
書き下し
文芸の嗜みは、人の品性を高くし精神を娯ましめ、これを大にすれば、社会の平和を助け人生の幸福を増すものなれば、またこれ人間要務の一なりと知るべし。
現代語訳
文学や芸術をたしなむことは、人の品性を高め、心を楽しませます。その広がりを大きく考えれば、社会の平和を助け、人生の幸福を増すものでもありますから、これも人として大切な務めの一つだと心得なければなりません。
解説
文学や芸術のたしなみを、品性を高め心を楽しませ、ひいては社会の平和と人生の幸福にもつながる、人としての大切な務めとして挙げた条です。実学を重んじた福沢の流れにあって、教養と楽しみを軽んじていないことがわかります。仕事一辺倒になりがちな経営者や管理職にとっても、音楽や読書、美術に触れる時間は、無駄ではなく人間の幅を保つ要務だと読めます。心に余白がある人は、判断も人への接し方もやわらかくなります。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
文芸品性精神娯楽社会の平和人生の幸福
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