尚書 / 君陳
爾有嘉謀嘉猷,則入告爾后于內,爾乃順之于外
書き下し
爾に嘉謀嘉猷有らば、則ち入りて爾の后に內に告げ、爾乃ち之に順いて外に行え。
現代語訳
あなたに良い考えや良い策があれば、まず内々に君主へ申し上げ、外に出てはその君主の意向に従う形で実行せよ。
解説
良い考えが浮かんだとき、まずそれを持ち帰り、上に立つ人へ内々に伝えるという段取りには意味がある。手柄を自分のものにせず、決まったこととして表に出していく姿勢は、組織だけでなく友人関係やチームでの提案の仕方にも通じる。良い案を思いつくことと、それを角を立てずに実現させることは別の技術である。自分の手柄より物事が前に進むことを優先できるかが問われている。なお、本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
この章句が説くこと
献策謙譲実行
関連する章句
-
尚書・周官賢を推し能に讓れば、庶官乃ち和し、和せざれば政厖る。
-
尚書・太甲下慮らずんば胡ぞ獲、為さずんば胡ぞ成らん。
-
葉隠・聞書第二或る方にて話半ば、出座(しゅつざ)見舞(みまい)あり。上座(かみざ)にて候が、即ち末座(まつざ)に下り、一通りの礼儀あり。其の後は常の通りなり。予(かね)て教訓の礼儀の所なり。
-
荀子・宥坐篇孔子、魯の桓公の廟に観る。欹器(きき)有り。孔子、廟を守る者に問いて曰く、「此れ何の器と為すか」と。廟を守る者曰く、「此れ蓋し宥坐(ゆうざ)の器と為す」と。孔子曰く、「吾聞く、宥坐の器なる者は、虚なれば則ち欹(かたむ)き、中なれば則ち正しく、満つれば則ち覆(くつがえ)ると」と。孔子顧みて弟子に謂いて曰く、「水を注げ」と。弟子、水を挹(く)みて之に注ぐ。中にして正しく、満ちて覆り、虚しくして欹く。孔子、喟然(きぜん)として歎じて曰く、「吁(ああ)、悪(いずく)んぞ満ちて覆らざる者有らんや」と。子路曰く、「敢えて問う、満を持するに道有りや」と。孔子曰く、「聡明聖知なるも、之を守るに愚を以てし、功、天下を被うも、之を守るに譲を以てし、勇力、世を撫するも、之を守るに怯を以てし、富、四海を有つも、之を守るに謙を以てす。此れ所謂(いわゆる)挹(く)みて之を損する道なり」と。
-
史記 管晏列伝鮑叔既に管仲を進め、身を以て之に下る。子孫世々斉に禄せられ、封邑を有つこと十余世、常に名大夫為り。天下、管仲の賢を多とせずして、鮑叔の能く人を知るを多とす。
-
尚書・大禹謨汝(なんじ)惟(こ)れ矜(ほこ)らざれば、天下汝と能を争う莫(な)し。汝惟れ伐(ほこ)らざれば、天下汝と功を争う莫し。