尚書 / 君陳
必有忍,其乃有濟;有容,德乃大
新字:必有忍,其乃有済;有容,徳乃大
書き下し
必ず忍ぶこと有りて、其れ乃ち済す有り。容るる有りて、徳乃ち大なり。
現代語訳
必ず耐え忍ぶことがあってこそ物事は成し遂げられ、人を受け容れることがあってこそ徳は大きくなる。
解説
何かを成し遂げるには、途中の苛立ちや不都合を飲み込んで耐える一時が要る。人を大きく受け止める器がなければ、徳もまた育たない。腹の立つ相手をすぐ切り捨てず、しばらく堪えて向き合ってみることで、初めて見えてくる関係の深まりがある。忍耐と包容は別々の徳ではなく、互いを支え合う一つの姿勢である。なお、本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
忍耐包容成就
関連する章句
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『慎思録』巻之二君陳に曰く、必ず忍ぶこと有れば、其れ乃ち済すこと有り。容るること有れば、徳乃ち大なり、と。窃かに謂ふ、忍ぶこと有る者は、猶ほ強制の意有り。容るること有るに至れば、則ち洪裕寛綽にして、乃ち徳量の広大なり。須らく忍を習ひて以て容に至るべし。程子曰く、忿慾、忍ぶと忍ばざるとに、便ち有徳無徳を見る、と。朱子曰く、只だ人の気象を観れば、便ち其の徳の厚薄、養ふ所の浅深を知る、と。是れ皆人を知るの法なり。且つ己を修むる者も、亦た須らく此を以て自ら省察すべし。
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『大和俗訓』巻之三・心術上一尚書に曰く、必ず忍ぶこと有りて、其れ乃ち済すこと有り、容るること有りて徳乃ち大なり。忍ぶとは堪忍するなり。堪忍すれば怒をおさへ、事をやぶらずして禍なし。人我の間和平にして、万事ととのふ。故に有済と云ふ。古語に、忍過ぎて事喜ぶに堪ふといへり。堪忍しすませば、必よろこびありとなり。人の悪しきを堪忍せざれば、怒起り、人にあらそひて、人我の間和順ならず、世に立ちがたし。堪忍すればあらそひ出来ず、口論にも及ばずして恥辱なし。心中平かにして楽多し。有容とは、心広くして、人の善をば取りて用ひ、人の過あるをばゆるすを云ふ。容るる事あれば、其徳の器大なり。たとへば大なる器の、其量ひろければ、物を入るる事多きが如し。古人の詩に、海濶くして魚の躍るに従せ、天空しくして鳥の飛ぶに任すといへるがごとし。忍は力を用ひて堪ふるなり。容は其徳ひろくして大なれば、忍ぶはいふに及ばず。まづ務めて忍びて、其工夫熟して後、有容にいたるべし。忍は生しきなり。有容は熟するなり。されど初より、容の工夫もあるべし。人の善を取り、人の過をゆるす事、はじめより無くんばあるべからず。
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尚書・君陳爾、頑なるに忿疾すること無かれ、備わるを一夫に求むること無かれ。
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『忍経』総論・君子は以て忿を懲らし欲を窒ぐ《易・損卦》に云ふ、「君子は以て忿を懲らし欲を窒ぐ」と。 《書》に周公、周王を戒めて曰く、「小人汝を怨み汝を罟(詈)らば、則ち皇いに自ら德を敬め」と。又た曰く、「啻に敢て怒りを含まざるのみならず」と。又た曰く、「其の心を寬綽にせよ」と。成王、君陳に告げて曰く、「必ず忍ぶこと有りて、其れ乃ち濟すこと有り。容るること有りて、德乃ち大なり」と。 《左傳》宣公十五年に、「諺に曰く、『高下は心に在り、川澤は汙を納れ、山藪は疾を藏し、瑾瑜は瑕を匿す、國君の垢を含むは、天の道なり』」と。昭公元年に、「魯は相忍ぶを以て國を爲むるなり」と。
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尚書・君陳上の命ずる所に違ひて、厥の好む攸に従ふ。爾克く典を敬し徳に在らば、時れ乃ち変ぜざる罔く、允に大猷に升らん。惟れ予一人、多福を膺受せん。其れ爾の休、終に永世に辞有らん。」
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尚書・君陳爾に嘉謀嘉猷有らば、則ち入りて爾の后に內に告げ、爾乃ち之に順いて外に行え。