尚書 / 蔡仲之命
皇天無親,惟德是輔;民心無常,惟惠之懷
新字:皇天無親,惟徳是輔;民心無常,惟恵之懐
書き下し
皇天は親しむ無く、惟れ德を是れ輔く。民心は常無く、惟れ惠を之れ懷く。
現代語訳
天は特定の誰かを身内として贔屓することはなく、ただ徳のある者だけを助ける。民の心は一定でなく、ただ恩恵を施す者に心を寄せる。
解説
天や人の心は特定の誰かを無条件に贔屓し続けるわけではなく、その時々の行いに応じて向きを変える、と説く一句である。血縁や肩書き、過去の実績にあぐらをかいていても、日々の振る舞いが伴わなければ、周囲の信頼は静かに離れていく。逆にどんな立場からでも、誠実な行いと相手への配慮を積み重ねれば、人の心はそちらへ寄っていく。信頼とは一度得たら安泰なものではなく、日々の行いによって更新され続けるものである。なお、本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
この章句が説くこと
信頼徳公平
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