尚書 / 伊訓
立愛惟親,立敬惟長,始于家邦,終于四海
書き下し
愛を立つるは親を惟(こ)れとし、敬を立つるは長を惟れとす。家邦に始まりて、四海に終わる。
現代語訳
愛情を育むにはまず身近な親から始め、敬意を育むにはまず年長者から始める。それが家や国から始まり、やがて天下全体にまで及んでいく。
解説
愛や敬意は遠い誰かに向ける前に、まず身近な親や年長者との関係の中で育まれるという考え方を示す句である。壮大な理想を語る前に、目の前の家族や身近な人にどう接しているかが問われている。身近な人を大切にできない人が、遠くの誰かを大切にできるはずがないという見方は、今の人間関係にもそのまま当てはまるだろう。大きなことを成そうとする前に、足元の関係を丁寧に扱うことが、結局は遠くまで届く力になる。なお、本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
この章句が説くこと
家族愛敬長近きより遠きへ