尚書 / 五子之歌
弗慎厥德,雖悔可追
新字:弗慎厥徳,雖悔可追
書き下し
厥(そ)の徳を慎まざれば、悔ゆと雖(いえど)も追(お)う可(べ)けんや。
現代語訳
自らの徳を慎んでいなければ、いくら悔やんでも、もはや取り返しがつくだろうか、いや、つきはしない。
解説
太康が遊興に耽り国を失った顛末を、弟たちが悲しみながら振り返る歌の結びである。徳を慎むというのは日々の小さな積み重ねであり、崩れてから悔やんでも、失った信頼や機会は簡単には戻らない。仕事の手を抜いたことも、大切な人との約束を軽んじたことも、後になって「しまった」と思っても取り返せないことは多い。だからこそ、まだ間に合ううちに、自分の振る舞いを整えておく値打ちがある。なお、本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
この章句が説くこと
慎独後悔徳
関連する章句
-
呂氏春秋・精通③德なる者は、萬民の宰なり。月なる者は、群陰の本なり。月望なれば則ち蚌蛤實ち、群陰盈つ。月晦なれば則ち蚌蛤虚しく、群陰虧く。夫れ月、天に形われて、群陰、淵に化す。聖人、德を己に行いて、四方咸仁に飭し。
-
論語・衛霊公篇子曰く、由、徳を知る者は鮮なし。
-
論語・為政篇子曰く、之を道びくに政を以てし、之を斉(ととの)うるに刑を以てすれば、民免れて恥無し。之を道びくに徳を以てし、之を斉うるに礼を以てすれば、恥有り且つ格(いた)る。
-
論語・憲問篇南宮适、孔子に問いて曰く、「羿は射を善くし、奡は舟を盪かす。倶に其の死を得ざりき。禹・稷は躬ら稼して天下を有てり。」夫子答えず。南宮适出づ。子曰く、「君子なるかな若き人。徳を尚ぶかな若き人。」
-
論語・為政篇子曰く、政を為すに徳を以てすれば、譬えば北辰其の所に居て衆星之に共(むか)うが如し。
-
『墨子』親士是の故に天地は昭昭たらず、大水は潦潦たらず、大火は燎燎たらず、王徳は堯堯たらず。者は乃ち千人の長なり。其の直きこと矢の如く、其の平らかなること砥の如きは、萬物を覆うに足らず。是の故に谿の狹き者は速やかに涸れ、逝の淺き者は速やかに竭き、墝埆なる者は其の地育まず。王者の淳き澤も、宫中を出でざれば、則ち國に流るる能わず。