淮南子 / 本經訓
凡亂之所由生者,皆在流遁。流遁之所生者五:大構駕,興宮室,延樓棧道,雞棲井幹,檦枺欂櫨,以相支持,木巧之飾,盤紆刻儼,嬴鏤雕琢,詭文回波,淌遊瀷淢,菱杼紾抱,芒繁亂澤,巧偽紛挐,以相摧錯,此遁於木也。鑿汙池之深,肆畛崖之遠,來溪穀之流,飾曲岸之際,積牒旋石,以純修碕,抑淢怒瀨,以揚激波,曲拂邅回,以像湡浯,益樹蓮菱,以食鱉魚,鴻鵠鷫鸘,稻粱饒餘,龍舟鷁首,浮吹以娛,此遁于水也。高築城郭,設樹險阻,崇台榭之隆,侈苑囿之大,以窮要妙之望,魏闕之高,上際青雲,大廈曾加,擬于昆侖,修為牆垣,甬道相連,殘高增下,積土為山,接徑曆遠,直道夷險,終日馳鶩而無跡蹈之患,此遁於土也。大鐘鼎,美重器,華蟲疏鏤,以相繆紾,寢兕伏虎,蟠龍連組,焜昱錯眩,照耀輝煌,偃蹇寥糾,曲成文章,雕琢之飾,鍛錫文鐃,乍晦乍明,抑微滅瑕,霜文沈居,若簟籧篨,纏錦經冘,似數而疏,此遁于金也。
新字:凡乱之所由生者,皆在流遁。流遁之所生者五:大構駕,興宮室,延楼棧道,鶏棲井幹,檦枺欂櫨,以相支持,木巧之飾,盤紆刻儼,嬴鏤雕琢,詭文回波,淌遊瀷淢,菱杼紾抱,芒繁乱沢,巧偽紛挐,以相摧錯,此遁於木也。鑿汚池之深,肆畛崖之遠,来渓穀之流,飾曲岸之際,積牒旋石,以純修碕,抑淢怒瀨,以揚激波,曲払邅回,以像湡浯,益樹蓮菱,以食鱉魚,鴻鵠鷫鸘,稲粱饒余,竜舟鷁首,浮吹以娯,此遁于水也。高築城郭,設樹険阻,崇台榭之隆,侈苑囿之大,以窮要妙之望,魏闕之高,上際青雲,大廈曽加,擬于昆侖,修為牆垣,甬道相連,残高增下,積土為山,接径暦遠,直道夷険,終日馳鶩而無跡蹈之患,此遁於土也。大鐘鼎,美重器,華虫疏鏤,以相繆紾,寝兕伏虎,蟠竜連組,焜昱錯眩,照耀輝煌,偃蹇寥糾,曲成文章,雕琢之飾,鍛錫文鐃,乍晦乍明,抑微滅瑕,霜文沈居,若簟籧篨,纏錦経冘,似数而疏,此遁于金也。
書き下し
凡そ亂の由りて生ずる所の者は、皆な流遁に在り。流遁の生ずる所の者は五つ。大いに構駕し、宮室を興し、樓棧道を延べ、雞棲井幹、檦枺欂櫨、以て相い支持し、木巧の飾り、盤紆刻儼、嬴鏤雕琢、詭文回波、淌遊瀷淢、菱杼紾抱、芒繁亂澤、巧偽紛挐として、以て相い摧錯す。此れ木に遁るるなり。汙池の深きを鑿ち、畛崖の遠きを肆べ、溪穀の流れを來たし、曲岸の際を飾り、牒旋の石を積み、以て修碕を純え、淢怒瀨を抑え、以て激波を揚げ、曲拂邅回して、以て湡浯に像り、益々蓮菱を樹えて、以て鱉魚を食い、鴻鵠鷫鸘、稻粱 饒餘、龍舟鷁首、浮吹して以て娛しむ。此れ水に遁るるなり。高く城郭を築き、險阻を設樹し、台榭の隆きを崇くし、苑囿の大なるを侈にし、以て要妙の望みを窮め、魏闕の高きは、上は青雲に際し、大廈曾加して、昆侖に擬え、修めて牆垣を為り、甬道 相い連なり、高きを殘ちて下きを增し、土を積みて山と為し、徑を接ぎて遠きを歷、道を直くして險を夷らげ、終日 馳鶩して跡蹈の患い無し。此れ土に遁るるなり。鐘鼎を大にし、重器を美にし、華蟲疏鏤、以て相い繆紾し、寢兕伏虎、蟠龍連組、焜昱錯眩、照耀輝煌、偃蹇寥糾、曲がりて文章を成し、雕琢の飾り、鍛錫文鐃、乍ち晦く乍ち明るく、微を抑え瑕を滅し、霜文沈居、簟籧篨の若く、纏錦經冘、數なるに似て疏なり。此れ金に遁るるなり。
現代語訳
およそ乱れの生じるもとは、みな流れて溺れることにある。溺れの生じるところは五つある。大がかりに組み上げ、宮室を興し、楼と桟道を延ばし、鶏小屋の形の櫓や井桁の枠、柱や斗栱を組んで支え合わせ、木の細工の飾りは、曲がりくねり厳めしく彫られ、透かし彫りと彫刻、入り組んだ文様と渦の形、流れる水や波の形、菱や巻き模様、繁く乱れた艶、巧みな作り物が入り乱れて、互いに組み合わされる。これが木に溺れるということである。深い池を掘り、岸を遠くまで伸ばし、谷川の流れを引き込み、曲がった岸辺を飾り、石を重ねて積み、長い岸を整え、流れをせき止めて激しい波を立て、曲げくねらせて自然の川に似せ、さらに蓮や菱を植えてすっぽんや魚を養い、白鳥や水鳥を飼い、稲や粱を余るほど与え、龍の舟に鷁の飾りをつけ、浮かんで笛を吹いて楽しむ。これが水に溺れるということである。高く城郭を築き、険しい備えを立て、台と楼の高さを競い、庭園の大きさを誇り、見晴らしの妙を窮め、宮門の高さは上は青雲に届き、大きな建物が重なって昆侖になぞらえられ、垣を築き、渡り廊下が連なり、高いところを削って低いところを埋め、土を積んで山とし、道をつないで遠くまで歩き、道をまっすぐにして険しさを均し、一日じゅう走り回っても足を取られる心配がない。これが土に溺れるということである。鐘や鼎を大きくし、重器を美しくし、鳥や虫の透かし彫りを絡ませ、伏せた兕や虎、とぐろを巻く龍を連ねた組み模様、きらめき目もくらむほど照り輝き、そりかえりからみ合い、曲がって模様を成し、彫りの飾り、錫を鍛えた鐃の文様、たちまち暗くたちまち明るく、細かいところを抑え傷を消し、霜のような文様が沈み、竹の敷物のようであり、錦を巻き縦糸を通し、細かいようでいて粗い。これが金に溺れるということである。
解説
この章句が説くこと
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『淮南子』本經訓煎熬焚炙し、齊和の適を調え、以て荊・吳の甘酸の變を窮め、林を焚きて獵し、大木を燒燎し、橐を鼓し埵を吹きて、以て銅鐵を銷かし、靡流堅鍛して、目を厭足すること無く、山に峻幹無く、林に柘梓無く、木を燎きて以て炭と為し、草を燔きて灰と為し、野莽 白素として、其の時を得ず、上は天光を掩い、下は地財を殄くす。此れ火に遁るるなり。此の五つの者は、一つにして以て天下を亡ぼすに足る。是の故に古者 明堂の制は、下の潤濕も及ぶ能わず、上の霧露も入る能わず、四方の風も襲う能わず。土事は文らず、木工は斫らず、金器は鏤まず。衣に隅差の削無く、冠に觚蠃の理無し。堂の大なるは以て周旋理文するに足り、靜潔なるは以て上帝を享け鬼神を禮するに足り、以て民に儉節を知るを示す。夫れ聲色五味、遠國の珍怪、瑰異奇物の、以て心を變じ志を易え、精神を搖盪し、血氣を感動せしむるに足る者は、勝げて計う可からざるなり。夫れ天地の財を生ずるや、本より五に過ぎず。聖人 五行を節すれば、則ち治まりて荒れず。
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