尚書 / 五子之歌
民可近,不可下。民惟邦本,本固邦寧
書き下し
民は近づく可(べ)し、下(くだ)す可からず。民は惟(こ)れ邦の本、本固ければ邦寧(やす)し。
現代語訳
民には親しみ近づくべきであって、見下してはならない。民こそが国の根本であり、根本が固まってこそ国は安らかになる。
解説
「民本」思想の最も有名な定式化として知られる一節である。人を見下せば離れ、近づき信を得てこそ足元が固まるという道理は、政治に限らず、顧客や同僚、家族との関係にも通じる。自分を支えてくれている人々を「下」に置いた瞬間、その関係の土台は静かに崩れ始める。誰と、どう向き合っているかが、自分の足場そのものを作っていることを、この句は思い出させてくれる。なお、本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
この章句が説くこと
民本信頼根本
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