尚書 / 大禹謨
稽于眾,舍己從人
新字:稽于眾,舎己従人
書き下し
眾(しゅう)に稽(かんが)え、己を舍(す)てて人に從(したが)う。
現代語訳
多くの人々の意見に照らして考え、自分の考えに固執することなく、他人の優れた意見に従う。
解説
一人の判断に頼らず広く衆知に照らして考え、たとえそれが自分の考えと違っていても、より優れた意見であれば自分を捨てて従うという柔軟さを説く。自分の意見を通すことにこだわると、視野は狭まり間違いにも気づきにくくなる。反対に、他人の意見に耳を傾け、正しいと思えば潔く自分の考えを引っ込められる人は、結果として最も良い判断にたどり着きやすい。自分が正しいという確信ほど、一度疑ってみる価値がある。なお、本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
この章句が説くこと
稽于衆舎己従人衆知
関連する章句
-
尚書・大禹謨稽(かんが)うる無きの言は聽く勿(な)かれ、詢(はか)らざるの謀(はかりごと)は庸(もち)うる勿かれ。
-
尚書・大禹謨后(きみ)克(よ)く厥(そ)の后たることを艱(かた)しとし、臣(しん)克く厥の臣たることを艱しとせば、政(まつりごと)乃(すなわ)ち乂(おさ)まり、黎民(れいみん)德に敏(さと)からん。
-
尚書・大禹謨汝(なんじ)惟(こ)れ矜(ほこ)らざれば、天下汝と能を争う莫(な)し。汝惟れ伐(ほこ)らざれば、天下汝と功を争う莫し。
-
尚書・大禹謨人心(じんしん)は惟(こ)れ危(あや)うく、道心(どうしん)は惟れ微(かす)かなり。惟れ精(せい)に惟れ一(いつ)にして、允(まこと)に厥(そ)の中(ちゅう)を執(と)れ。
-
尚書・大禹謨虞(おそ)れ無きに儆戒(けいかい)し、法度(ほうど)を失うこと罔(な)かれ。逸(いつ)に遊ぶこと罔く、樂に淫(いん)すること罔かれ。賢を任じて貳(に)すること勿(な)かれ、邪を去りて疑うこと勿かれ。
-
尚書・大禹謨罪の疑わしきは惟(こ)れ軽くし、功の疑わしきは惟れ重くす。其(そ)れ不辜(ふこ)を殺さんよりは、寧(むし)ろ不経(ふけい)を失せよ。