尚書 / 大禹謨
罪疑惟輕,功疑惟重;與其殺不辜,寧失不經
新字:罪疑惟軽,功疑惟重;与其殺不辜,寧失不経
書き下し
罪の疑わしきは惟(こ)れ軽くし、功の疑わしきは惟れ重くす。其(そ)れ不辜(ふこ)を殺さんよりは、寧(むし)ろ不経(ふけい)を失せよ。
現代語訳
罪があるかどうか疑わしい場合は軽く扱い、功績があるかどうか疑わしい場合は重く評価せよ。無実の者を誤って罰するくらいならば、むしろ定まった法の規定から外れることを選べ。
解説
罪の判断は疑わしきをできるだけ軽く、功績の判断は疑わしきをできるだけ厚く見積もるという、評価の非対称な原則を説く。取り返しのつかない不利益を人に与えることの重さと、多少寛大に評価しすぎることの軽さとを比べれば、前者を避けることの方がはるかに大切だという発想である。誰かを叱ったり評価を下げたりする場面では、疑わしい証拠だけで断罪してしまわないよう、常に慎重さの側に重心を置く姿勢が求められる。なお、本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
この章句が説くこと
罪疑惟軽功疑惟重不辜