尚書 / 大禹謨
人心惟危,道心惟微,惟精惟一,允執厥中
書き下し
人心(じんしん)は惟(こ)れ危(あや)うく、道心(どうしん)は惟れ微(かす)かなり。惟れ精(せい)に惟れ一(いつ)にして、允(まこと)に厥(そ)の中(ちゅう)を執(と)れ。
現代語訳
人の欲に基づく心は危うく乱れやすく、道理に基づく心はかすかで見えにくい。だからこそ心を研ぎ澄まし、ひたすら純一に保って、まことにその中庸を執り続けよ。
解説
人には欲望に流されやすい危うい心と、道理に基づくかすかな心の両方が同居しており、油断すれば前者に飲み込まれてしまうと説く。だからこそ意識を研ぎ澄まし雑念を払って一つに集中し、偏りのない中庸を保ち続けることが求められる。日々の判断でも、目先の感情や欲に流されそうになる瞬間は誰にでもあり、そのつど立ち止まって自分の内にある静かな声に耳を澄ませることが、道を誤らないための支えになる。なお、本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
この章句が説くこと
十六字心伝人心道心允執厥中
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