尚書 / 舜典
詢于四岳,闢四門,明四目,達四聰
書き下し
四岳(しがく)に詢(と)い、四門を闢(ひら)き、四目を明らかにし、四聰(しそう)を達す。
現代語訳
四方の重臣たちに広く意見を尋ね、四方の門を開き、四方をよく見る目を明らかにし、四方によく聞こえる耳を届かせた。
解説
情報を独占せず、四方に向けて門を開き、目や耳を隅々まで行き届かせることで、実情が正しく伝わる仕組みを作った故事である。人は立場が上がるほど、自分に都合の良い情報しか届かなくなりやすい。意識して間口を広げ、様々な立場の声に耳を傾け、直接見に行く機会を持たなければ、実情から遠ざかっていることにすら気づけなくなる。風通しの良さは、放っておいて生まれるものではなく、自ら作り出すものである。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
四門四目四聡情報公開風通し
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『慎思録』巻之一舜四岳に詢り、四門を闢き、四目を明らかにし、四聡を達す。此くの如くにして天下の聡明に旁く達し、視聴を四方に広めて、以て天下の壅蔽を決すべし。蓋し天下は至大なり。唯下情通ぜず、聞見に壅蔽有らんことを恐る。然れども四方の目を以て目と為せば、則ち視ざる所無し。四方の耳を以て耳と為せば、則ち聴かざる所無し。四方の心を以て心と為せば、則ち通ぜざる所無し。舜の大智、己を舎てて人に従ひ、人に取りて以て善を為すこと此くの如し。学者の道に於けるも、亦当に是を以て法と為すべし。蓋し天地万物の理、天下古今の事は、広大と謂ふべし。須らく其の心胸を開濶し、其の聞見を広博にして、以て天下古今の善を取り、天地万物の理を明らかにすべし。苟も一己の視聴を負みて自ら是とし人に取らざれば、則ち壅塞して通ぜず、偏陋にして大ならず。所謂自ら用ふれば則ち小なり。不明孰れか焉より甚だしからん。此くの如き偏狭蔽固の見を以て、天地万物天下古今無窮の道理を究めんと欲す。亦難からずや。
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風憲忠告・詢訪苐三今政を為す者、往往にして先入の言を以て主と為すは、彼一偏に狃(な)れ徇(したが)うに非ず、蓋し上下の情に通ぜざるに由るが故なり。故に其の情に通ずるは、悉心詢訪(じゅんぽう)するに如くは莫し。小にしては一県一州、大にしては一郡一国、吏孰(いず)れか貪邪、官孰れか廉正、何事か衆を病ましめ、何政か民を利するか、豪横の有無、風俗の厚薄、既にその凡(あらまし)を得て、他日詳らかに綜覈(そうかく)を加え、復た験(あか)すに事を以てせば、其れ孰か隠るるを得んや。苟しくも廉ならば、即ちこれを優しみ、これを礼貌し、これを薦挙せば、則ち善なる者勧む。苟しくも貪ならば、極品の貴と雖も、即ちこれを蔑(なみ)し、これを威拒し、これを紏劾せば、則ち悪を為す者懲む。推して士を待ち吏を遇するに至るも、亦然らざるは莫し。大抵一道の任は、猶お一家の務のごとし。善く家を為す者は、その子弟族属、下は奴隷に逮(およ)ぶまで、その情性の良否、皆当に知るべき所なり。一たび或いは及ばざれば、則ち将に甘んじて弄せらるる所と為りて悟らず、久しければ必ず是非顛倒し、佞を以て忠と為し、貪を以て廉と為し、無能を以て有能と為すに致り、政令行われずして紀綱替(すた)らん。前輩云う有り、「宰相為ること難からず、一心正しく、両眼眀らかならば足れり」と。烏呼、彼の風憲を長たる者、其の責任の重き、亦豈に夫の宰相に下らんや。之を若何ぞ前輩の言を以て法と為さざる。
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『慎思録』巻之四堯舜湯武の天下に王たるや、其の政治豈に過失有らんや。然れども堯に敢諫の鼓有り、舜に誹謗の木有り、湯に司過の士有り、武王に戒慎の鞀有り。猶ほ自ら其の過ちを知ること能はざらんことを恐る。且つ其の臣に禹稷契皐陶伊尹萊朱周公太公望散宜生の諸聖賢有りて、輔相無しと為さず。然れども其の広く其の過ちを聞知せんと欲すること此の如し。今の学者の如きも、亦た当に博く聞き広く覧ることを要すべし。己の見を主として、其の聡明を掩蔽すべからず。
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説苑・君道周公、天子の位を践み徳を布き恵みを施す。遠くして逾々明らかに、十二牧、方三人、遠方の民を挙げ出だし、饑寒ありて衣食を得ざる者、獄訟ありて職を失う者、賢才ありて挙げられざる者あれば、以て天子に入りて告ぐ。天子其の君の朝に於いて、攝して之を進めて曰く、「意うに朕の政教に得ざる者有るか。何ぞ其の臨む所の民に饑寒ありて衣食を得ざる者、獄訟ありて職を失う者、賢才ありて挙げられざる者有るや」と。其の君帰るや、乃ち其の国の大夫を召し、天子の言を用って告ぐ。百姓之を聞きて皆喜びて曰く、「此れ誠に天子なり。何ぞ居ること深遠にして我を見ること之明らかなるや、豈に欺くべけんや」と。故に牧なる者は四門を辟き、四目を明らかにし、四聰を達する所以なり。是を以て近き者之に親しみ、遠き者之に安んず。詩に曰く、「遠きを柔らげ邇きを能くし、以て我が王を定む」と、此を之れ謂うなり。
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貞観政要・君道貞観二年、太宗魏徴に問いて曰く、「何をか明君暗君と為すと謂う」と。徴曰く、「君の明なる所以の者は、兼ね聴けばなり。其の暗なる所以の者は、偏り信ずればなり。《詩》に云く、『先人に言有り、芻蕘(すうじょう)に詢(と)う』と。昔、唐・虞の理むるや、四門を辟(ひら)き、四目を明らかにし、四聡を達す。是を以て聖にして照らさざる無し。故に共・鯀(こん)の徒も、塞ぐ能わざるなり。靖言庸回(せいげんようかい)も、惑わす能わざるなり。秦の二世は則ち其の身を隠蔵し、疎賤を捐隔(えんかく)して趙高を偏信す。天下潰叛するに及びて、聞くを得ざるなり。梁の武帝は朱異を偏信す。而して侯景は兵を挙げて闕に向かうも、竟に知るを得ざるなり。隋の煬帝は虞世基を偏信す。而して諸賊は城を攻め邑を剽(おびや)かすも、亦た知るを得ざるなり。是の故に人君は兼ね聴き下を納るれば、則ち貴臣も壅蔽(ようへい)するを得ずして、下情は必ず上に通ずるを得るなり」と。太宗甚だ其の言を善しとす。
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荀子・致士篇衡聴・顕幽・重明・退姦・進良の術。朋党比周の誉は、君子は聴かず。残賊加累の譖は、君子は用いず。隠忌雍蔽の人は、君子は近づけず。貨財禽犢の請は、君子は許さず。凡そ流言・流説・流事・流謀・流誉・流愬の、官せずして衡ちに至る者は、君子は之を慎み、聞き聴きて之を明らかに誉め、其の当を定めて当たり、然る後に其の刑賞を士して之に還し与う。是くの如くなれば則ち姦言・姦説・姦事・姦謀・姦誉・姦愬、之を試むる莫きなり。忠言・忠説・忠事・忠謀・忠誉・忠愬、明通せざる莫く、方に起こりて以て尚だ尽くさん。夫れ是れを之れ衡聴・顕幽・退姦・進良の術と謂う。