尚書 / 君牙
今命爾予翼,作股肱心膂。纘乃舊服,無忝祖考,弘敷五典,式和民則。
新字:今命爾予翼,作股肱心膂。纘乃旧服,無忝祖考,弘敷五典,式和民則。
書き下し
今爾に命じて予が翼と為し、股肱心膂と作す。乃の旧服を纘ぎ、祖考を忝むること無く、弘く五典を敷き、式て民の則を和せよ。
現代語訳
いま汝に命じて私の補佐とし、手足であり心と背骨である重臣とする。汝の祖先が担ってきた職を受け継ぎ、祖父や父の名を辱めることなく、広く五典(父は義、母は慈、兄は友、弟は恭、子は孝の五つの教え)を行き渡らせ、民の守るべき規範を和らげ整えよ。
解説
王は君牙を自らの補佐とし、「股肱心膂」、すなわち手足であり心と背骨であるほどの重臣とすると宣言する。この語は、信頼する側近を表す言葉として後世まで用いられた。そのうえで、祖先の職を受け継いで祖父や父の名を辱めず、五典を広めて民の規範を整えよと命じる。大司徒は教化をつかさどる職であり、五典を敷くことはその本務であった。先祖の功を受け継ぐ誇りを、職務への責任感へとつなげる語り方である。組織で要職を任されたとき、先人の名を汚さないという思いは、仕事を支える大きな力になる。任命する側が期待の大きさを言葉で示す意味も教えている。本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
関連する章句
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尚書・君牙王若(かく)のごとく曰く、『嗚呼(ああ)!君牙よ、惟れ乃の祖乃の父、世々忠貞に篤く、王家に服労し、厥の成績有り、太常に紀さる。惟れ予小子、文・武・成・康の遺緒を嗣ぎ守るは、亦惟れ先正の臣、克く左右して四方を乱めしによる。
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尚書・君牙嗚呼(ああ)!丕いに顕らかなるかな、文王の謨。丕いに承くるかな、武王の烈。我が後人を啓き佑け、咸く正を以てして欠くる罔し。爾惟れ敬みて乃の訓を明らかにし、用て先王に奉じ若へ。文・武の光命に対揚し、前人に追配せよ。』王若のごとく曰く、『君牙よ、乃惟れ先正に由り、旧典時れ式れ、民の治乱は茲に在り。乃の祖考の行ふ攸に率ひ、乃の辟の乂むる有るを昭らかにせよ。』
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尚書・說命下股肱は惟れ人、良臣は惟れ聖なり。
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尚書・君陳王若(かく)のごとく曰く、「君陳よ、惟れ爾令徳にして孝恭なり。惟れ孝にして、兄弟に友に、克く有政に施す。汝に命じて茲の東郊を尹(をさ)めしむ、敬せよや。昔周公万民を師保し、民其の徳を懐く。往きて乃の司を慎み、茲に厥の常に率へ。懋めて周公の訓を昭らかにせば、惟れ民其れ乂まらん。我聞く、曰く、
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尚書・君牙爾が身克く正しければ、敢えて正しからざる罔し。
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尚書・冏命克く先烈を紹がしめよ。今予汝に命じて大正と作し、群僕侍御の臣を正さしむ。乃の后の徳を懋め、交々逮ばざるを修めよ。
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