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尚書 / 蔡仲之命

爾其戒哉!慎厥初,惟厥終,終以不困,不惟厥終,終以困窮;懋乃攸績,睦乃四鄰,以蕃王室,以和兄弟。

書き下し

爾其れ戒めよや。厥の初めを慎み、惟れ厥の終はりを惟へ。終はり以て困しまず。厥の終はりを惟はずんば、終はり以て困窮せん。乃の績とする攸を懋め、乃の四鄰に睦み、以て王室に蕃となり、以て兄弟を和せよ。

現代語訳

汝は戒めよ。その始めを慎み、その終わりまで思いをいたせ。そうすれば最後に困ることはない。その終わりを思わなければ、最後には困窮するであろう。汝の果たすべき功績に努め、四方の隣国と睦まじくし、それによって王室の垣根となり、兄弟の国々を和合させよ。

解説

蔡仲への命の中ほどで、王は「厥の初めを慎み、惟れ厥の終はりを惟へ」と戒める。事を始めるときに慎むだけでなく、その結末まで見通して考えれば最後に困ることはなく、終わりを考えなければ困窮に陥るという、きわめて実際的な教えである。さらに自分の務めに励み、隣国と仲よくし、王室の藩屛となって兄弟の国を和合させよと、諸侯としての役割を具体的に示している。父が乱に加わって処罰された蔡仲にとって、この言葉は身の処し方そのものであった。新しい任務に就くとき、出だしの意気込みだけでなく、終わりの姿を思い描いて臨めているか。本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。

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