新序 / 善謀第十
御史大夫曰:「不然,臣聞之,利不什不易業,功不百不變常,是故古之人君,謀事必就聖,發政必擇語,重作事也。自三氏之盛,逺方夷狄,不與正朔服色,非威不能制,非强不能服也,以為逺方絶域,不收之民,不足以煩中國也。且匈奴者,輕疾悍亟之兵也,畜牧為業,弧弓射獵,逐獸隨草,居處無常,難得而制也。至不及圗去不可追;來若風雨,解若収電,今使邊鄙久廢耕織之業,以支匈奴常事,其勢不權。臣故曰勿擊為便。」
新字:御史大夫曰:「不然,臣聞之,利不什不易業,功不百不変常,是故古之人君,謀事必就聖,発政必択語,重作事也。自三氏之盛,遠方夷狄,不与正朔服色,非威不能制,非强不能服也,以為遠方絶域,不収之民,不足以煩中国也。且匈奴者,軽疾悍亟之兵也,畜牧為業,弧弓射猟,逐獣随草,居処無常,難得而制也。至不及図去不可追;来若風雨,解若収電,今使辺鄙久廃耕織之業,以支匈奴常事,其勢不権。臣故曰勿擊為便。」
書き下し
御史大夫曰く、然らず。臣之を聞く、利什ならずんば業を易えず、功百ならずんば常を變ぜず、と。是の故に古の人君、事を謀るに必ず聖に就き、政を發するに必ず語を擇ぶは、事を作すを重んずればなり。三氏の盛んなるより、遠方の夷狄、正朔・服色を與にせざるは、威に非ざれば制する能わず、强に非ざれば服する能わざるなり。以爲えらく遠方絶域、收めざるの民は、以て中國を煩わすに足らず、と。且つ匈奴なる者は、輕疾悍亟の兵なり。畜牧を業と爲し、弧弓もて射獵し、獸を逐い草に隨い、居處常無く、得て制し難きなり。至れば圖るに及ばず、去れば追う可からず。來たること風雨の若く、解くること電を收むるが若し。今邊鄙をして久しく耕織の業を廢して、以て匈奴の常事を支えしむ。其の勢い權らず。臣故に曰く、擊つ勿きを便と爲す、と。
現代語訳
御史大夫は言った。「そうではありません。臣はこう聞いております、利が十倍でなければ生業を変えず、功が百倍でなければ常を変えない、と。だから古の君主が、事を謀るのに必ず聖人につき、政令を出すのに必ず言葉を選んだのは、事を起こすことを重く見たからです。三代が盛んであったときから、遠方の夷狄が暦や服の色を共にしなかったのは、威がなければ制せられず、強くなければ服させられないからです。遠方の絶域で、収めきれない民は、中国を煩わせるに足りないと考えたのです。そのうえ匈奴というのは、軽くすばやく荒々しい兵です。牧畜を生業とし、弓で狩りをし、獣を追い草に従い、住まいに定めがなく、捕らえて制するのが難しい。着いたときには手が回らず、去れば追えません。来るのは風雨のようで、引くのは稲妻を収めるようです。いま辺境に長く耕作と機織りの生業を捨てさせて、匈奴の日常の営みに張り合わせる。その形勢は釣り合いません。だから臣は、撃たないのが得策だと申します」。
解説
この章句が説くこと
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