新序 / 義勇第八
陳恒弑君,使勇士六人劫子淵棲,子淵棲曰:「子之欲與我,以我為知乎?臣弑君,非知也!以我為仁乎?見利而背君,非仁也!以我為勇乎?劫我以兵,懼而與子,非勇也。使吾無此三者,與何補於子?若吾有此三者,終不從子矣!」乃舍之。
新字:陳恒弑君,使勇士六人劫子淵棲,子淵棲曰:「子之欲与我,以我為知乎?臣弑君,非知也!以我為仁乎?見利而背君,非仁也!以我為勇乎?劫我以兵,懼而与子,非勇也。使吾無此三者,与何補於子?若吾有此三者,終不従子矣!」乃舎之。
書き下し
陳恒君を弑す。勇士六人をして子淵棲を劫かさしむ。子淵棲曰く、子の我と與にせんと欲するは、我を以て知と爲すか。臣君を弑するは、知に非ざるなり。我を以て仁と爲すか。利を見て君に背くは、仁に非ざるなり。我を以て勇と爲すか。我を劫かすに兵を以てす。懼れて子に與するは、勇に非ざるなり。吾をして此の三つの者無からしめば、與するも何ぞ子に補あらん。若し吾に此の三つの者有らば、終に子に從わじ、と。乃ち之を舍く。
現代語訳
陳恒が君を弑した。勇士六人に子淵棲を脅させた。子淵棲は言った。「あなたが私を仲間にしたいのは、私を知者だと思うからか。臣が君を弑するのは、知ではない。私を仁者だと思うからか。利を見て君に背くのは、仁ではない。私を勇者だと思うからか。私を兵で脅している。恐れてあなたに従うのは、勇ではない。私にこの三つがないのなら、味方にしてもあなたの何の足しになろう。もし私にこの三つがあるのなら、決してあなたには従わない」。そこでこれを放免した。
解説
百八字。脅されて従わなかった話は多いのですが、この章は理屈だけで押し返しています。誘う側が自分に何を期待しているのかを、三つに分けました。知・仁・勇。そのそれぞれについて、いま起きていることが逆になっている。恐れてあなたに従うのは、勇ではない。そして詰めの一句が効きます。私にこの三つがないのなら、味方にしてもあなたの何の足しになろう。欲しがった理由を、そのまま断る理由に変えました。
この章句が説くこと
陳恒君を弑す勇士六人をして子淵棲を劫かさしむ臣君を弑するは知に非ざるなり利を見て君に背くは仁に非ざるなり我を劫かすに兵を以てす懼れて子に与するは勇に非ざるなり脅迫知仁勇
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