新序 / 刺奢第六
趙襄子飲酒五日五夜,不廢酒,謂侍者曰:「我誠邦士也。夫飲酒五日五夜矣,而殊不病。」優莫曰:「君勉之,不及紂二日耳。紂七日七夜,今君五日。」襄子懼,謂優莫曰:「然則吾亡乎?」優莫曰:「不亡。」襄子曰:「不及紂二日耳,不亡何待?」優莫曰:「桀紂之亡也遇湯武,今天下盡桀也,而君紂也,桀紂並世,焉能相亡,然亦殆矣。」
新字:趙襄子飲酒五日五夜,不廃酒,謂侍者曰:「我誠邦士也。夫飲酒五日五夜矣,而殊不病。」優莫曰:「君勉之,不及紂二日耳。紂七日七夜,今君五日。」襄子懼,謂優莫曰:「然則吾亡乎?」優莫曰:「不亡。」襄子曰:「不及紂二日耳,不亡何待?」優莫曰:「桀紂之亡也遇湯武,今天下尽桀也,而君紂也,桀紂並世,焉能相亡,然亦殆矣。」
書き下し
趙襄子酒を飲むこと五日五夜、酒を廢せず。侍者に謂いて曰く、我誠に邦士なり。夫れ酒を飲むこと五日五夜なり。而も殊に病まず、と。優莫曰く、君之を勉めよ。紂に及ばざること二日のみ。紂は七日七夜、今君は五日なり、と。襄子懼れ、優莫に謂いて曰く、然らば則ち吾亡びんか、と。優莫曰く、亡びず、と。襄子曰く、紂に及ばざること二日のみ。亡びずして何をか待たん、と。優莫曰く、桀紂の亡ぶるや湯武に遇えばなり。今天下は盡く桀なり。而して君は紂なり。桀紂世を並ぶ。焉んぞ能く相い亡ぼさん。然れども亦た殆うし、と。
現代語訳
趙襄子が酒を飲むこと五日五晩、酒をやめなかった。侍者に言った。「私はまことに国じゅうで並ぶ者のない男だ。酒を飲むこと五日五晩になる。それでもいっこうに具合が悪くならない」。優莫は言った。「君、励まれよ。紂に及ばないこと二日だけです。紂は七日七晩、いま君は五日です」。襄子は恐れて、優莫に言った。「それでは私は滅ぶのか」。優莫は言った。「滅びません」。襄子は言った。「紂に及ばないこと二日だけだ。滅びずして何を待とうか」。優莫は言った。「桀や紂が滅んだのは、湯や武王に出会ったからです。いま天下はことごとく桀です。そして君は紂です。桀と紂が同じ世に並んでいる。どうして互いに滅ぼし合えましょう。しかしながら、やはり危ういのです」。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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史記 殷本紀西伯飢国を伐ちて、之を滅ぼすに及び、紂の臣祖伊之を聞きて周を咎め、恐れて、奔りて紂に告げて曰く、「天既に我が殷の命を訖へんとす。人を仮りて元亀もてするも、敢へて吉を知る無し。先王我が後人を相けざるに非ず、維れ王淫虐にして用て自ら絶つ。故に天我を棄て、安食有らず、天性を虞知せず、率典に迪らず。今我が民喪びんことを欲せざる罔く、曰く『天曷ぞ威を降さざる、大命胡ぞ至らざる』と。今王其れ柰何せん」と。
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『不動智神妙録』諫言 其二 好む所の病然れば幾千人ありとても、自然の時、主人の用に立つ物は一人も不可有之、彼の一旦気に入りたる無智若輩の悪人は、元より心正しからざる者故、事に臨んて一命を捨てんと思ふ事、努々不可有、心正しからさるものゝ主の用に立ちたる事は、往昔より不承及ところなり、貴殿の弟子を御取立て被成にも、箇様の事有之由、苦々敷存候、是れ皆一片の数奇好む所より其病にひかれ、悪に落入るを知らざるなり、人は知らぬと思へども微より明かなるなしとて、我心に知れは、天地鬼神万民も知るなり、如是して国を保つ、誠に危き事にあらずや、然らば大不忠なりとこそ存候へ、
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尚書・西伯戡黎西伯既に黎を戡(か)つ、祖伊恐れ、奔りて王に告ぐ。曰く、「天子よ、天既に我が殷の命を訖(を)へんとす。格人元亀も、敢て吉を知る罔し。先王我が後人を相けざるに非ず、惟れ王淫戯して用て自ら絶つ。故に天我を棄て、康食有らず、天性を虞(はか)らず、率典に迪(したが)はず。今我が民喪びんことを欲せざる罔く、曰く、『天曷ぞ威を降さざる、大命摯(いた)らざる』と。今王其れ台(われ)を如何せん。」王曰く、「嗚呼(ああ)、
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史記 樊酈滕灌列伝項羽戯下に在りて、沛公を攻めんと欲す。沛公百余騎を従へ項伯に因りて面のあたり項羽に見え、関を閉づる事有る無きを謝す。項羽既に軍士を饗し、酒中なるに、亜父謀りて沛公を殺さんと欲し、項荘をして剣を抜き坐中に舞はしめ、沛公を撃たんと欲す。項伯常に之を屏蔽す。時に独り沛公と張良とのみ入りて坐するを得、樊噲営外に在り、事の急なるを聞き、乃ち鉄盾を持ちて入りて営に到る。営衛噲を止むるも、噲直ちに撞きて入り、帳下に立つ。項羽之を目し、誰と為すと問ふ。張良曰く「沛公の参乗樊噲なり」と。項羽曰く「壮士なり」と。之に卮酒・彘肩を賜ふ。噲既に酒を飲み、剣を抜きて肉を切りて食ひ、之を尽くす。項羽曰く「能く復た飲むか」と。噲曰く「臣死すら且つ辞せず、豈に特に卮酒のみならんや。且つ沛公先に入りて咸陽を定め、師を霸上に暴して、以て大王を待つ。大王今日至り、小人の言を聴き、沛公と隙有り、臣恐らくは天下解け、心に大王を疑はん」と。項羽黙然たり。沛公廁に如き、樊噲を麾きて去る。既に出で、沛公車騎を留め、独り一馬に騎り、樊噲等四人と歩して従ひ、間道より山下に帰り走りて霸上の軍に帰り、而して張良をして項羽に謝せしむ。項羽も亦た因りて遂に已み、沛公を誅するの心無し。是の日樊噲の営に奔り入りて項羽を譙譲するに微かりせば、沛公の事幾ど殆ふかりき。
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葉隠・聞書第一諫言(かんげん)の道に、我(われ)其の位(くらい)にあらずば、其の位の人に言はせて、御誤(おあやまり)直(なお)る様にするが大忠(たいちゅう)なり。此の階(かい)の為に諸人(しょにん)と懇意(こんい)する所なり。我が為にすれば追従(ついしょう)なり。一方(いっぽう)は我等(われら)荷(にな)ひ申す心入(こころいれ)からなり。成程(なるほど)なるものなり。
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