新序 / 雜事第四
既而晉人之救鄭者至,請戰,莊王許之,將軍子重進諫曰:「晉,强國也,道近力新,楚師疲勞君請勿許。」莊王曰:「不可。强者我避之,弱者我威之,是寡人無以立乎天下也。」遂還師以逆晉寇,莊王援枹而皷之,晉師大敗,晉人來渡河而南,及敗,犇走欲渡而北,卒爭舟,而以刃擊引,舟中之指可掬也,莊王曰:「嘻,吾兩君之不相能也,百姓何罪。」乃退師,以軼晉寇。詩曰:「柔亦不茹,剛亦不吐。不侮鰥寡,不畏强禦。」莊王之謂也。
新字:既而晉人之救鄭者至,請戦,荘王許之,将軍子重進諫曰:「晉,强国也,道近力新,楚師疲労君請勿許。」荘王曰:「不可。强者我避之,弱者我威之,是寡人無以立乎天下也。」遂還師以逆晉寇,荘王援枹而皷之,晉師大敗,晉人来渡河而南,及敗,犇走欲渡而北,卒争舟,而以刃擊引,舟中之指可掬也,荘王曰:「嘻,吾両君之不相能也,百姓何罪。」乃退師,以軼晉寇。詩曰:「柔亦不茹,剛亦不吐。不侮鰥寡,不畏强禦。」荘王之謂也。
書き下し
既にして晉人の鄭を救う者至り、戰わんことを請う。莊王之を許す。將軍子重進み諫めて曰く、晉は強國なり。道近く力新たなり。楚師は疲勞せり。君請う許す勿かれ、と。莊王曰く、不可なり。強き者は我之を避け、弱き者は我之を威さば、是れ寡人以て天下に立つ無きなり、と。遂に師を還して以て晉の寇を逆う。莊王枹を援りて之を鼓す。晉師大いに敗る。晉人河を渡り来たりて南せしが、敗るるに及び、犇り走りて渡りて北せんと欲す。卒舟を爭いて、刃を以て引くを撃つ。舟中の指掬す可きなり。莊王曰く、嘻、吾が兩君の相い能わざるなり。百姓何の罪かあらん、と。乃ち師を退けて、以て晉の寇を軼す。詩に曰く、柔も亦た茹らわず、剛も亦た吐かず。鰥寡を侮らず、強禦を畏れず、と。莊王の謂いなり。
現代語訳
やがて晋が鄭を救うために来て、戦いを求めた。荘王はこれを許した。将軍の子重が進み出て諫めた。「晋は強国です。道のりは近く兵力は新しい。楚の軍は疲れています。君、どうかお許しにならないでください」。荘王は言った。「それはいけない。強い相手を避け、弱い相手を脅すなら、それでは私が天下に立つ根拠がない」。そこで軍を返して晋の敵を迎え撃った。荘王は自ら太鼓のばちを取って打ち鳴らした。晋の軍は大敗した。晋の人は黄河を渡って南に来ていたが、敗れると、走って渡って北へ戻ろうとした。兵は舟を奪い合い、刃で舟べりにつかまる手を切った。舟の中の指はすくえるほどであった。荘王は言った。「ああ、われら二人の君が仲違いしただけだ。民に何の罪があろうか」。そこで軍を退いて、晋の敵を逃がした。『詩経』に「柔らかいものも呑み込まず、堅いものも吐き出さない。やもめを侮らず、強い者を畏れない」とある。荘王のことである。
解説
この章句が説くこと
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