新序 / 雜事第四
晉文公伐原,與大夫期五日,五日而原不降,文公令去之。吏曰:「原不過三日,將降矣,君不如待之?」君曰:「得原失信,吾不為也。」原人聞之曰:「有君義若此,不可不降也。」遂降,温人聞之,亦請降。故曰:「伐原而温降。」此之謂也。於是諸侯歸之,遂侵曹伐衛,為踐土之會,温之盟後南破强楚,尊事周室,遂成霸功,上次齊桓,本信由伐原也。
新字:晉文公伐原,与大夫期五日,五日而原不降,文公令去之。吏曰:「原不過三日,将降矣,君不如待之?」君曰:「得原失信,吾不為也。」原人聞之曰:「有君義若此,不可不降也。」遂降,温人聞之,亦請降。故曰:「伐原而温降。」此之謂也。於是諸侯帰之,遂侵曹伐衛,為践土之会,温之盟後南破强楚,尊事周室,遂成覇功,上次斉桓,本信由伐原也。
書き下し
晉の文公原を伐つ。大夫と期すること五日。五日にして原降らず。文公令して之を去らしむ。吏曰く、原は三日に過ぎずして、將に降らんとす。君之を待つに如かざるか、と。君曰く、原を得て信を失う。吾爲さざるなり、と。原人之を聞きて曰く、君の義有ること此くの若し。降らざる可からざるなり、と。遂に降る。温人之を聞き、亦た降らんことを請う。故に曰く、原を伐ちて温降る、と。此の謂いなり。是に於いて諸侯之に歸す。遂に曹を侵し衞を伐ち、踐土の會、温の盟を爲す。後に南のかた強楚を破り、周室を尊び事え、遂に霸功を成し、上は齊桓に次ぐ。本と信は原を伐つに由るなり。
現代語訳
晋の文公が原を攻めた。大夫たちと五日と期限を定めた。五日たっても原は降らなかった。文公は命じて引き揚げさせた。役人は言った。「原はあと三日とかからず、降ろうとしています。君はお待ちになってはいかがですか」。君は言った。「原を得て信を失う。私はそれをしない」。原の人はこれを聞いて言った。「君にこれほどの義がある。降らないわけにはいかない」。そこで降った。温の人はこれを聞いて、やはり降ることを願い出た。だから「原を攻めて温が降った」という。これのことである。そこで諸侯はこれに帰した。ついで曹を侵し衛を伐ち、践土の会、温の盟を行った。後に南で強い楚を破り、周室を尊んで仕え、ついに覇業を成し、斉の桓公に次ぐ位に立った。もともと信は、原を攻めた一件から起こったのである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
論語・学而篇有子曰く、「信義に近ければ、言復む可きなり。恭礼に近ければ、恥辱に遠ざかるなり。因りて其の親を失わざれば、亦宗とす可きなり。」
-
説苑・君道成王、唐叔虞と燕居し、梧桐の葉を剪りて以て珪と為し、唐叔虞に授けて曰く、「余此を以て汝に封ぜん」と。唐叔虞喜びて、以て周公に告ぐ。周公以て請いて曰く、「天子虞に封ずるか」と。成王曰く、「余一に虞と戯るるなり」と。周公対えて曰く、「臣之を聞く、天子に戯言無し、言えば則ち史之を書し、工之を誦し、士之を称すと」と。是に於いて遂に唐叔虞を晋に封ず。周公旦善く説くと謂うべし。一たび称して成王言を重んずるを益し、弟を愛するの義を明らかにし、王室を輔くるの固き有り。
-
論語・顔淵篇子貢、政を問う。子曰く、「食を足し、兵を足し、民之を信ず。」子貢曰く、「必ず已むを得ずして去らば、斯の三者に於いて何をか先にせん。」曰く、「兵を去らん。」子貢曰く、「必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於いて何をか先にせん。」曰く、「食を去らん。古より皆死有り、民信無くんば立たず。」
-
呂氏春秋・貴信①凡そ人主は必ず信。信にして又信ならば、誰人か親しまざらん。故に周書に曰く、「允なるかな允なるかな。」以て信に非ざれば、則ち百事滿たざるを言うなり。故に信の功為るや大なり。信立てば則ち虚言以て賞す可し。虚言以て賞す可くんば、則ち六合の內皆己が府為り。信の及ぶ所、盡く之を制す。之を制して用いざれば、人の有なり。之を制して之を用うれば、己の有なり。己、之を有すれば、則ち天地の物畢く用を為す。人主にして此の論を見る有る者は、其の王たること久しからず。人臣にして此の論を知る有る者は、以て王者の佐為る可し。
-
呂氏春秋・貴信②天行信ならざれば、歲を成すこと能わず。地行信ならざれば、草木大ならず。春の德は風、風、信ならざれば、其の華盛ならず。華盛ならざれば、則ち果實生ぜず。夏の德は暑なり。暑、信ならざれば、其の土肥えず。土肥えざれば、則ち長遂精ならず。秋の德は雨なり。雨、信ならざれば、其の穀堅からず。穀堅かざれば、則ち五種成らず。冬の德は寒なり。寒、信ならざれば、其の地剛ならず。地剛ならざれば、則ち凍閉開かず。天地の大、四時の化すら、猶ほ信ならざるを以て物を成すこと能わず。又況んや人事をや。君臣、信ならずんば、則ち百姓誹謗し、社稷寧かならず。官を處くこと信ならずんば、則ち少、長を畏れず、貴賤相輕んず。賞罰信ならずんば、則ち民易しく法を犯して、使令す可からず。交友、信ならずんば、則ち離散鬱怨して、相親しむこと能わず。百工、信ならずんば、則ち器械苦偽して、丹漆染色貞ならず。夫れ與に始めを為す可く、與に終りを為す可く、與に尊通なる可く、與に卑窮なる可き者は、其れ唯だ信か。信にして又信、身に重襲すれば、乃ち轉に通ず。此を以て人を治むれば、則ち膏雨甘露降り、寒暑四時當たらん。
-
論語・学而篇曾子曰く、「吾日に三たび吾が身を省みる。人の為に謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝えしか。」