説苑 / 君道
成王與唐叔虞燕居,剪梧桐葉以為珪,而授唐叔虞曰:「余以此封汝。」唐叔虞喜,以告周公,周公以請曰:「天子封虞耶?」成王曰:「余一與虞戲也。」周公對曰:「臣聞之,天子無戲言,言則史書之,工誦之,士稱之。」於是遂封唐叔虞於晉,周公旦可謂善說矣,一稱而成王益重言,明愛弟之義,有輔王室之固。
新字:成王与唐叔虞燕居,剪梧桐葉以為珪,而授唐叔虞曰:「余以此封汝。」唐叔虞喜,以告周公,周公以請曰:「天子封虞耶?」成王曰:「余一与虞戯也。」周公対曰:「臣聞之,天子無戯言,言則史書之,工誦之,士称之。」於是遂封唐叔虞於晉,周公旦可謂善説矣,一称而成王益重言,明愛弟之義,有輔王室之固。
書き下し
成王、唐叔虞と燕居し、梧桐の葉を剪りて以て珪と為し、唐叔虞に授けて曰く、「余此を以て汝に封ぜん」と。唐叔虞喜びて、以て周公に告ぐ。周公以て請いて曰く、「天子虞に封ずるか」と。成王曰く、「余一に虞と戯るるなり」と。周公対えて曰く、「臣之を聞く、天子に戯言無し、言えば則ち史之を書し、工之を誦し、士之を称すと」と。是に於いて遂に唐叔虞を晋に封ず。周公旦善く説くと謂うべし。一たび称して成王言を重んずるを益し、弟を愛するの義を明らかにし、王室を輔くるの固き有り。
現代語訳
成王が唐叔虞とくつろいでいたとき、梧桐の葉を切って笏の形にし、唐叔虞に授けて「私はこれでお前を諸侯に封じよう」と言った。唐叔虞は喜んで周公に告げた。周公はこれを機に尋ねた、「天子は虞を諸侯に封じられるのですか」と。成王は「私はただ虞とふざけただけだ」と言った。周公は答えた。「私が聞くところでは、天子に戯れの言葉はありません。ひとたび言葉を発すれば、史官がそれを記録し、楽人がそれを歌にし、士がそれを称え伝えるものです。」そこでついに唐叔虞を晋に封じた。周公旦はうまく説得したというべきである。一言をもって成王に言葉の重みを一層自覚させ、弟を愛する道理を明らかにし、王室を輔弼する礎を固くしたのである。
解説
何気ない戯れの一言でさえ、地位ある者の言葉には現実を動かす力が伴うという教えである。周公は成王を叱責するのではなく、天子に戯言なしという原則を静かに示すことで、言葉の重みを自覚させた。組織のリーダーが放つ言葉は、本人が意図せずとも部下や周囲に記録され語り継がれるものであり、軽い気持ちで発した約束や評価が独り歩きすることへの警戒を促す、言葉の責任についての普遍的な教訓である。
この章句が説くこと
言葉の重み信戯言
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