新序 / 雜事第三
也先王以為快其志,以臣不損令,故裂地而封臣,使比小國諸侯。臣聞賢聖之君,功立不廢,故著於春秋;蚤知之士;名成而不毁,故稱於後世。若先王之報怨雪醜,夷萬乘之齊,收八百年之積,及其棄羣臣之日,餘令詔後嗣之義法,執政任事,循法令,順庶孽,施及萌□皆可以教後世。
新字:也先王以為快其志,以臣不損令,故裂地而封臣,使比小国諸侯。臣聞賢聖之君,功立不廃,故著於春秋;蚤知之士;名成而不毀,故称於後世。若先王之報怨雪醜,夷万乗之斉,収八百年之積,及其棄羣臣之日,余令詔後嗣之義法,執政任事,循法令,順庶孽,施及萌□皆可以教後世。
書き下し
先王以爲えらく其の志を快くすと。臣を以て令を損なわずとし、故に地を裂きて臣を封じ、小國の諸侯に比せしむ。臣聞く、賢聖の君は、功立ちて廢れず、故に春秋に著る。蚤知の士は、名成りて毀れず、故に後世に稱せらる、と。先王の怨みに報い醜を雪ぎ、萬乘の齊を夷らげ、八百年の積を收むるが若きは、其の羣臣を棄つるの日に及び、餘令を後嗣に詔ぐるの義法、執政事に任じ、法令に循い、庶孽に順い、萌□に施し及ぼすは、皆な以て後世に教う可し。
現代語訳
「先王はそれで志を晴らしたと思われました。臣が命令を損なわなかったとして、土地を割いて臣を封じ、小国の諸侯に並ばせてくださいました。臣は聞いております。賢く聖なる君は、功が立って廃れない、だから『春秋』に記される。早くから知る士は、名が成って毀たれない、だから後世に称えられる、と。先王が怨みに報い恥をすすぎ、万乗の斉を平らげ、八百年の蓄えを収められたようなことは、群臣を残して世を去られる日にあたり、遺言を後継者に詔された義の定め、政を執る者が事に当たり、法令に従い、庶子たちを安んじ、民草〔一字を欠く〕にまで及ぼされたことは、いずれも後世に教えとすることができます」。
解説
この章句が説くこと
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『新序』雜事第三臣聞く、賢聖の君は、祿を以て親を私せず、功多き者に之を授く。官を以て愛に隨わず、能く當たる者を之に處らしむ、と。故に曰く、能を察して官を授くる者は、功を成すの君なり。行を論じて交わりを結ぶ者は、名を立つるの士なり、と。臣學ぶ所を以て、先王の舉措を觀るに、世主に高きの心有り。故に節を魏に假り、身を以て燕に察せらるるを得たり。先王過舉して、之を賓客の中に擢で、之を羣臣の上に立て、父兄に謀らずして、以て亞卿と爲す。臣自ら以爲えらく、令を奉じ教えを承け、幸いに罪無かる可しと。故に命を受けて辭せず。
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『新序』雜事第三寡人不肖なりと雖も、未だ殷紂の亂の如くならざるなり。君未だ志を得ずと雖も、未だ商容・箕子の累の如くならざるなり。然るに内に寡人に盡くさずして、怨みを外に明らかにす。恐らくは其れ適だ以て高義を傷つけて行に薄きに足らん。然らざれば、苟くも以て君の高きを成し、君の義を明らかにす可くんば、寡人惡名なりと雖も、受くるに難からざるなり。本と以爲えらく、寡人の薄きを明らかにして、君は厚きを得ず。寡人の毀りを揚げて、君は榮を得ず。是れ一擧にして兩つながら失うなり。義なる者は人を毀ちて以て自ら益せず。况んや人を傷つけて以て自ら損なうをや。願わくは君寡人の不肖を以て、往事の美を累わす無かれ。昔者、柳下季魯に理と爲り、三たび絀けられて去らず。或るひと曰く、以て去る可し、と。柳下季曰く、苟くも人と異ならば、惡くに往くとして絀けられざらんや。猶お且つ絀けらるるなり。寧ろ故國のみ、と。柳下季絀を以て自ら累わさず。故に自ら前業忘れず。去るを以て心と爲さず。故に遠近議無し。寡人の罪、國人知らずして、寡人を議する者は天下なり。諺に曰く、仁は輕がるしく絶たず、知は功を簡せず、と。功を簡して大を棄つる者は、仇なり。經絶して厚利する者は、怨なり。仇として之を棄て、怨として之を累わすは、宜しく遠き者に在るべし。之を君に望まざるなり。今寡人罪無し。君豈に之を怨まんや。願わくは君忿を捐て怒りを和らげ、先王に追順して、以て復た寡人を教えよ。寡人君の曰わんことを意う、余將に心を快くして而の過ちを成し、先王を顧みずして而の惡を明らかにせんとす、と。寡人をして進みては初めに循う能わず、退きては過ちを變ずる能わざらしむ。此れ君の制する所なり。唯だ君之を圖れ。此れ寡人の愚志なり。敬んで書を以て之を謁す、と。
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『新序』雜事第三先王臣に命じて曰く、我齊に積怨深怒有り。輕弱を量らず、齊を以て事と爲さんと欲す、と。臣對えて曰く、夫れ齊は霸王の餘業、戰勝の遺事なり。兵革に閑い、戰攻に習う。王若し之を攻めんと欲さば、必ず天下と之を圖れ。之を圖るは徑ちに趙と結ぶに若くは莫し。且つ淮北・宋の地は、楚・魏の願う所なり。趙若し許さば、楚・魏と約して力を盡くさん。四國之を攻めば、齊大いに破る可きなり、と。王曰く、善し、と。臣乃ち命を受け符節を具えて南のかた趙に使いす。顧り反りて、兵を起こして齊を攻む。天の道、先王の靈を以て、河北の地は、先王に隨いて之を舉げ、濟上の兵は、命を受けて之に勝つ。輕卒鋭兵、長驅して齊に至る。齊王遁逃して莒に走り、僅かに身を以て免る。珠玉貨寶、車甲珍器、皆な收めて燕に入る。大呂は元英に陳ね、故鼎は歷室に反り、齊器は寧臺に設け、薊丘の植は、汶篁に植う。五伯以來、功業の盛んなること、未だ先王に及ぶ者有らず。
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史記 楽毅列伝功立ちて廃せず、故に春秋に著る。蚤知の士は、名成りて毀れず、故に後世に称せらる。先王の怨みに報い恥を雪ぎ、万乗の彊国を夷らげ、八百歳の蓄積を収め、群臣を棄つるの日に及ぶまで、余教未だ衰へず、政を執り事に任ずるの臣、法令を修め、庶孽を慎み、施して萌隷に及ぶが若きは、皆以て後世に教ふべし。
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史記 楽毅列伝臣聞く、賢聖の君は禄を以て親に私せず、その功多き者はこれを賞し、その能当たる者はこれに処らしむ。故に能を察して官を授くる者は、成功の君なり。行ひを論じて交はりを結ぶ者は、立名の士なり。臣竊かに先王の挙を観るに、世主より高きの心有るを見る、故に節を魏に仮りて、身を以て燕に察せらるるを得たり。先王過りて挙げ、これを賓客の中に廁へ、これを群臣の上に立て、父兄に謀らずして、以て亜卿と為す。臣竊かに自ら知らず、自ら以為へらく令を奉じ教へを承けば、幸ひに罪無かるべしと、故に令を受けて辞せず。先王これに命じて曰く、「我に斉に積怨深怒有り、軽弱を量らずして、斉を以て事と為さんと欲す」と。臣曰く、「夫れ斉は霸国の余業にして最勝の遺事なり。兵甲に練れ、戦攻に習ふ。王若しこれを伐たんと欲せば、必ず天下と与にこれを図れ。天下と与にこれを図らば、趙に結ぶに若くは莫し。且つまた淮北・宋の地は、楚・魏の欲する所なり、趙若し許して四国に約してこれを攻めば、斉大いに破るべきなり」と。先王以て然りと為し、符節を具へて南のかた臣を趙に使はす。顧みて反命し、兵を起こして斉を撃つ。天の道、先王の霊を以て、河北の地先王に随ひてこれを済上に挙ぐ。済上の軍命を受けて斉を撃ち、大いに斉人を敗る。軽卒鋭兵、長駆して国に至る。斉王遁れて莒に走り、僅かに身を以て免る。珠玉財宝車甲珍器、尽く収めて燕に入る。斉の器は寧台に設けられ、大呂は元英に陳ねられ、故鼎は磿室に反り、薊丘の植は汶篁に植う。五伯より已来、功の未だ先王に及ぶ者有らざるなり。先王以て志に慊しと為し、故に地を裂きてこれを封じ、小国の諸侯に比するを得しむ。臣竊かに自ら知らず、自ら以為へらく命を奉じ教へを承けば、幸ひに罪無かるべしと、是を以て命を受けて辞せず。臣聞く、賢聖の君は、
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『新序』雜事第三臣聞く、善く作す者は必ずしも善く成さず、善く始むる者は必ずしも善く終えず、と。昔伍子胥説闔閭に聽かれ、吳遠く迹して郢に至る。夫差是とせず、之に鴟夷を賜い、之を江に沉む。故に夫差は先の論の以て功を立つ可きを計らず、子胥を沉めて悔いず。子胥は蚤く王の量を同じくせざるを見ざるなり。故に江に入りて化せず。夫れ身を免れて功を全うし、以て先王の迹を明らかにするは、臣の上計なり。□辱の誹りに離り、先王の明を墮とすは、臣の大いに恐るる所なり。不測の罪に臨み、幸を以て利と爲すは、義の敢えて出でざる所なり。臣聞く、君子は交わりを絶ちて惡言無く、臣を去りて惡聲無し、と。臣不肖なりと雖も、數ミ教えを君子に奉ず。臣恐る、侍御者の親交の説にして、疏遠の行を察せざらんことを。故に敢えて書を以て謝す、と。

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